■要約
トリプルアイズ<5026>は、AI/システムの開発、AIを搭載したサービスの提供及び自動車メーカー向けの設計開発によって構成されるAIソリューション事業、2023年9月にグループ入りした(株)ゼロフィールドが手掛けるGPUマシンの販売・保守サービスを手掛けるGPUサーバー事業の2つが主力事業である。AIソリューション事業はSI(システムインテグレーション)部門とAIZE部門から構成されていたが、2024年7月に(株)BEXがグループ入りしたことで、現在はAIインテグレーション、エンジニアリング、AIプロダクトの3つのサブセグメントとなっている。AIインテグレーションでは、AI/システムの開発、AIに関するコンサルティングなどを行い、エンジニアリングでは、BEXが主として自動車メーカー向けの設計開発を行っている。また、AIプロダクトでは、AIを搭載したサービスの提供及びサービス提供に伴い発生するデバイスや顧客別カスタマイズ開発を行っている。また、ゼロフィールドにより展開されているGPUサーバー事業は、GPUサーバー/データセンターと保守の2つのサブセグメントからなり、マイニングマシンの販売、AI用途に最適なGPUサーバーの販売やデータサーバーの提供、並びにそれらの保守・運用までを一括で受託している。
1. 2024年8月期の業績概要
2024年8月期の連結業績は、売上高4,410百万円(前期比88.0%増)、営業利益38百万円(前期は269百万円の営業損失)、経常利益47百万円(同290百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益76百万円(同825百万円の当期純損失)となり、期初に発表した売上高4,045百万円、営業損失96百万円、その後に上方修正した売上高4,341百万円、営業利益3百万円を売上高、営業利益ともに上回った。期初計画がAIソリューション事業、GPUサーバー事業ともにやや保守的であったことに加え、完全子会社となったBEXが7月、8月の2ヶ月分寄与したことが売上面では大きく上振れ要因になったと見られる。なお、事業別の業績は、AIソリューション事業の売上高が3,029百万円(前期比29.1%増)、営業利益が1百万円(前期は269百万円の営業損失)、GPUサーバー事業の売上高が1,381百万円(2023年9月より連結化されたため前期比較なし)、営業利益が2百万円(同)であった。なお、AIソリューション事業の売上高にはBEXの新規連結効果(約300百万円)があったと見られるため、これを除いた既存事業でのAIソリューション事業の売上高は前期比15%程度の増収であったと推測される。
2. 2025年8月期の業績見通し
2025年8月期の連結業績は、売上高5,992百万円(前期比35.9%増)、営業利益111百万円(同192.6%増)、経常利益98百万円(同109.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益30百万円(同59.6%減)と見込んでいる。事業別の売上高や営業利益の詳細は開示していないが、売上高が前期比で約1,600百万円増加する計画となっており、この増収のうち、約1,500百万円はBEXが12ヶ月分のフル連結されることによるものと見られる(BEXの前期売上高は2ヶ月分のみで約300百万円、2025年8月期は12ヶ月分で約1,800百万円の想定)。そのため、実質的にGPUサーバー事業も含めた既存事業においてはほぼ前年並みの業績予想に留めているという試算だ。また、BEXのフル連結に伴う影響は、直近12ヶ月ベースで約200百万円の営業利益を出しており、のれん償却費26百万円(のれん201百万円、10年償却)を差し引いても前期比で170〜180百万円の営業利益の増加要因となると見られる。しかし、同社の営業利益の見込みは前期比で72百万円の増加に留まっており、営業利益の面では売上高以上に保守的な予想となっているようだ。同社の説明資料においては、事業シナジー創出のための研究開発投資、エンジニアの稀少性が高まる中で人的資本への投資実行、また、GPUサーバー事業の事業ボラティリティ性を勘案して来期業績を見積もっているとなっている。上振れて着地する可能性がありそうだ。
3. 中長期成長戦略
同社は成長戦略として以下の4つのAI実装戦略による独自性を掲げている。(1) AIプロダクト、オーダーメイドAI開発の展開、(2) 資本業務提携やM&Aを駆使したレガシー産業領域へのAI実装及び新サービス展開、(3) GPUサーバー事業の推進、(4) M&Aによる非連続の成長、である。特にここ2年間で顕著なのはゼロフィールドやBEXなどの大型M&Aの実施による事業領域の拡大や、2024年9月のゲームカード・ジョイコホールディングス<6249>との資本業務提携の実施など、外部経営リソースの積極的な活用だ。自動車設計業務を手掛けるBEX、パチンコ・パチスロホール向けカードシステムを手掛けるゲームカード・ジョイコホールディングスなど一見すると買収・提携先の事業内容に一貫性がないように見えるが、同社のAI技術が幅広い業界において優位性を発揮できるという証左でもある。今後、これらの外部資本活用により自動車業界などレガシー産業においてAI実装を進めることで事業機会が着実に拡がってくると見られる。また、短期的には暗号資産用GPUマシンの販売動向が業績の変動要因となるものの、長期的にはゼロフィールドが持つ高性能GPUサーバーと同社が持つ自社開発AIエンジンの融合にも期待したい。今後、生産、販売シナジー双方の数値化と成長戦略の開示が待たれる。
■Key Points
・システムインテグレーションと自社の画像認識プラットフォーム「AIZE(アイズ)」を展開。GPUマシンを手掛けるゼロフィールドを2023年9月に、自動車設計業務を手掛けるBEXを2024年7月に完全子会社化
・2024年8月期は期初時点で保守的に見込まれたAIソリューション事業が堅調に推移。また、期中に買収したBEXの新規連結効果で売上高、営業利益ともに期初予想を大幅に上回って着地
・2025年8月期の会社計画はBEXの12ヶ月分のフル業績寄与を踏まえると売上高、営業利益とも保守的な予想となっている可能性がある
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
■摘要
Triple Eyes <5026>有兩項主要業務:人工智能/系統開發、提供配備人工智能的服務、爲汽車製造商設計和開發組成的人工智能解決方案業務,以及GPU服務器業務,負責處理2023/9加入該集團的零場有限公司處理GPU機器的銷售和維護服務。人工智能解決方案業務由SI(系統集成)部門和AIZE部門組成,但BEX有限公司於2024/7年加入該集團,現在是人工智能集成、工程和人工智能產品的一個子細分市場。在人工智能集成方面,進行人工智能/系統開發,人工智能相關諮詢等,而在工程方面,BEX主要爲汽車製造商進行設計開發。此外,在人工智能產品中,提供配備人工智能的服務,並針對與提供服務相關的設備和客戶進行定製開發。此外,Zero Field開發的GPU服務器業務包括兩個子部門,即GPU服務器/數據中心和維護,以及採礦機的銷售、適用於人工智能應用程序的GPU服務器的銷售、數據服務器的提供以及這些服務的維護和運營均由外包。
1。截至2024/8財年的財務業績摘要
截至2024/8財年的合併財務業績爲淨銷售額爲44.10億日元(較上一財年增長88.0%),營業收入爲3,800萬日元(上一財年的營業虧損爲2.69億日元),普通收入爲4700萬日元(普通虧損2.9億日元),歸屬於母公司股東的淨收益爲7,600萬日元(淨虧損8.25億日元),淨收益爲4,700萬日元本財年初公佈的向上修正後的營業利潤爲0.45億日元,營業利潤爲300萬日元超過了兩項營業收入。除了人工智能解決方案業務和GPU服務器業務的最初計劃都有些保守外,成爲全資子公司的BEX似乎在7月和8月做出了兩個月的貢獻,這是銷售的主要上行因素。至於按業務劃分的業績,人工智能解決方案業務的銷售額爲30.29億日元(較上一財年增長29.1%),營業利潤爲100萬日元(上一財年的營業虧損2.69億日元),GPU服務器業務的銷售額爲13.81億日元(自2023/9合併以來與上一財年無比較),營業收入爲200萬日元(相同)。請注意,由於BEX在人工智能解決方案業務的銷售中似乎產生了新的合併效應(約3億日元),因此可以推測,除此以外,現有業務中人工智能解決方案業務的銷售額與上一財年相比增長了約15%。
2。截至2025/8財年的收益預測
截至2025/8財年的合併財務業績預計爲銷售額爲59.92億日元(較上一財年增長35.9%),營業收入爲1.11億日元(較同期增長192.6%),普通收入爲9,800萬日元(較同期增長109.6%),歸屬於母公司股東的淨收益爲3000萬日元(較同期下降59.6%)。按業務分列的銷售額和營業利潤的詳細信息尚未披露,但計劃與上一財年相比增加約1.6億日元,其中約15億日元預計將歸因於BEX的12個月全面合併(假設BEX僅兩個月的第一年銷售額約爲3億日元,截至2025/8財年的12個月約爲18億日元)。因此,據估計,現有業務(實際上包括GPU服務器業務)幾乎僅限於與去年相同的收益預測。此外,與全面整合BEX相關的影響在12個月內創造了約2億日元的營業收入,即使扣除2600萬日元(商譽2.01億日元,10年攤銷)的商譽攤銷費用,預計營業收入也將比上一財年增加1.7億至1.8億日元。但是,該公司的營業利潤預測僅限於與上一財年相比增長7200萬日元,而且就營業利潤而言,該預測似乎比銷售額更爲保守。根據該公司的解釋性材料,下一財年的業績是通過考慮爲創造業務協同效應而進行的研發投資、隨着工程師短缺增加而對人力資本的投資執行以及GPU服務器業務的業務波動來估算的。它似乎有可能向上擺動並着陸。
3.中長期增長戰略
該公司根據以下4種人工智能實施策略建立了獨特性作爲增長戰略。它們是(1)開發人工智能產品和定製的人工智能開發;(2)充分利用資本和業務聯盟以及併購向傳統工業領域的人工智能實施和新服務開發;(3)促進GPU服務器業務;(4)通過併購實現不連續增長。在過去的兩年中,特別突出的是積極使用外部管理資源,例如通過實施大規模併購來擴大業務領域,例如通過實施Zero Field等大規模併購來擴大業務領域 BEX,以及資本和商業聯盟的實施2024/9 年度 Game Card Joyco Holdings <6249>。乍一看,負責汽車設計工作的BEX和負責彈珠機和彈珠機大廳等紙牌系統的Game Card Joyco Holdings在收購/合作伙伴的業務細節上似乎不一致,但這也證明了該公司的人工智能技術可以在各個行業中展現出優勢。未來,通過利用這些外部資本,推進汽車行業等傳統行業的人工智能實施,預計商機將穩步擴大。此外,在短期內,用於加密資產的GPU機器的銷售趨勢將成爲業務績效的波動因素,但從長遠來看,我希望Zero Field的高性能GPU服務器和該公司內部開發的人工智能引擎融爲一體。未來,生產和銷售協同效應的量化以及增長戰略的披露仍在等待中。
■要點
・正在開發系統集成和公司的圖像識別平台 「AIZE(Eyes)」。處理 GPU 機器的 Zerofield 於 2024/9 年成爲全資子公司,負責汽車設計工作的 BEX 於 2024/7 年成爲全資子公司
・在2024/8財年,在截至財年初保守預期的人工智能解決方案業務保持強勁。此外,由於在此期間收購的BEX產生了新的合併效應,銷售和營業收入均大大高於最初的預測
・根據BEX12個月的全額財務貢獻,公司有可能保守地預測截至2025/8財年的銷售和營業利潤
(由FISCO客座分析師長岡宏樹撰寫)