■TOKAIホールディングス<3167>の中期経営計画
2. 企業価値向上に向けた取り組み
同社は企業価値の向上に向けて、(1) 事業ポートフォリオ経営への取り組み、(2) 各事業の拡大・効率化の推進、(3) ESG経営への取り組みを推進している。2025年3月期における重点施策の取り組みは以下のとおりである。
(1) 事業ポートフォリオ経営への取り組み
資本収益性と成長性の2軸で事業ポートフォリオを把握し、グループ全体最適を実現するポートフォリオの構築に向けマネジメントを強化する。具体的には、事業ポートフォリオを成長領域(エネルギー、法人向け情報通信、建築設備不動産)、期待領域(再生可能エネルギー他GX関連、海外、地域連携)、成熟領域(個人向け情報通信、CATV、アクア)、改革領域(事業収益改善または撤退/売却を検討する事業)の4領域に分類し、ポートフォリオ上の位置付けに応じて各事業の拡大並びに効率化を推進し、ROEの向上を目指す。期待領域については、グループの持続的成長につながる新規事業を創出する取り組みも継続する考えだ。また、事業間連携を強化することで、さらなるグループシナジーの創出につなげる。なお、事業ごとの資本収益性については、事業別ROIC Spread(事業別ROIC−事業別WACC)で管理する。
(2) 各事業の拡大・効率化の推進
a) 成長領域
エネルギー事業では、M&Aやエリア・サービスを広げることで顧客基盤を拡大し、持続的な成長を図る。また、収益性を維持向上すべくDXによる業務効率化などコスト削減策についても推進する。DX戦略として、自動検針メーターの導入を進めている。検針業務のコスト削減だけでなく、リアルタイムに顧客の消費量を把握することで最適なタイミングでの販売が可能となるほか、物流の効率化が進むものと期待される。スマートメーターの設置率は2024年3月末の70%から2024年9月末は88%まで上昇しており、2026年3月期末までに100%を目指す。また、顧客接点の強化施策としてTLC会員に対してスマートフォンアプリの導入を推進している。スマートフォンアプリを活用することで、最適なタイミングで顧客に各種情報を発信することが可能となり、解約率の低減やクロスセル率の向上といった効果が期待される。2024年9月末時点でTLC会員1,242千人のうちアプリ導入会員は418千人と順調に増加しており(2024年3月末時点でTLC会員1,214千人のうちアプリ導入会員は375千人)、2026年3月期末までに1,000千人の導入を目指す。
法人向け情報通信事業では、通信インフラ投資やデータセンターの能力増強等によるビジネスエリアの拡大並びにストック収入の拡大に加えて、M&Aを活用しながらデジタル人財を拡充することで旺盛なDX需要を取り込む戦略だ。また、建築設備不動産事業では、建築不動産、土木工事、設備工事などグループ各社が持つリソースを共有し、グループシナジーを創出していくことで東海エリアでのシェア拡大による収益成長を目指す。
b) 期待領域
再生可能エネルギー他GX関連事業については、太陽光発電(PPA含む)や蓄電池システムの普及促進に取り組んでいるほか、創エネルギー事業を手掛ける企業への出資を行い、再生可能エネルギー事業の運営ノウハウも収集しながら、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指す。出資実績として、2023年7月にTOKAIがフィリピンの水力発電事業会社であるREPOWER ENERGY DEVELOPMENT CORPORATIONの新規株式公開に参加し、65百万株(出資比率10%、1株当たり5フィリピンペソ)を約8億円で取得した。その後も株式を追加取得し、2024年2月には出資比率が20%となり持分法適用関連会社となっている。また、2023年12月に(株)TOKAIベンチャーキャピタル&インキュベーションが、発電用の浮体式垂直軸型洋上風車※の開発に取り組む(株)アルバトロス・テクノロジーに出資した。グループとしてGX領域における情報取集・知見の集積を目的としたものだ。2024年4月以降の出資実績はないものの、今後もGXビジネスに関連した企業への出資について検討する方針に変わりない。
※ 浮体式垂直軸型洋上風車は、海に浮かべる浮体部分の小型化が実現できるほか風車の製造方法の工夫によって、従来型(水平軸型)の風車と比べ製造コストや運用コストの低減が期待されている技術。既に様々な企業・団体との共同研究が開始されている。
海外事業については、エネルギー事業においてベトナムでLPガス販売事業会社を、フィリピンで水力発電事業会社を持分法適用関連会社としているほか、情報通信事業においてインドネシアや中国台湾を中心にAWS導入支援等の事業を展開する。海外事業に関しては短期的な業績への影響は軽微となるが、中長期的な収益貢献を期待しての展開となる。
地域連携については、各グループ会社で地域密着サービスや官民連携による取り組みを推進している。具体的には、CATV事業を担う子会社がフィットネスジム※を4店舗運営しているほか、東海ガスが静岡県内にキャンプ場を2ヶ所運営している。1ヶ所目は2024年3月にオープンした「びく石山 静かな夜のキャンプ場」で、藤枝市が取り組む「ふじえだ陶芸村構想」の実現に向けた中山間地域の活性化を図るための拠点である。もう1ヶ所は掛川市が開設したキャンプ場及び温泉施設「森の都ならここの里」(2022年度利用者数:キャンプ場7.4万人/温泉施設6.3万人)の事業譲受案件となる。掛川市が民営化を目的に公募し、同社が2023年10月に選定され、2024年4月から運営を開始している。
※ (株)ケイアイリンクがフランチャイズ展開する24時間年中無休のフィットネスジム「RETIO BODY DESIGN(レシオボディデザイン)」を(株)TOKAIケーブルネットワークで2店舗、(株)倉敷ケーブルテレビで2店舗運営している。
(3) ESG経営への取り組み
同社は、持続的成長につながるESGの取り組みを加速させることで、PERのさらなる向上を目指している。
a) 環境(Environment)
2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとして、顧客のエネルギー利用及び自らの事業活動でGXを推進する。顧客のエネルギー利用では、省エネ機器の普及促進や再生可能エネルギーの導入促進、地域と一体となった低・脱炭素の推進、原料の脱炭素への対応を強化する。また、自らの事業活動では、DX推進によるLPガス事業の配送効率化や自動検針化、太陽光発電設備の自社設置、事業所で使用する電気の再生可能エネルギー化に取り組んでいる。
b) 社会(Society)
人的資本投資として、人財・組織の活力最大化や、従業員のウェルビーイング向上を推進する。具体的には、「理想の個」の実現に向けて、自律キャリア支援やリスキリング支援などを充実させる。また、「理想の組織」の実現に向けて、多様な働き方の実現、働きがいを高める制度の改定、トップレベルの健康経営の実践、管理職への心理的安全性研修やコーチング研修に取り組む。
c) ガバナンス(Governance)
コンプライアンス・ガバナンスの徹底を図るべく、役員・管理者研修を強化し、組織のさらなるコンプライアンス意識の向上を推進する。また、内部統制を強化し、組織全体にガバナンスを浸透させていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
■东海控股的中期经营计划 <3167>
2。旨在提高企业价值的举措
该公司正在推动(1)业务组合管理工作,(2)每项业务的扩张和效率,以及(3)ESG管理举措以提高企业价值。截至2025/3财年的优先政策举措如下。
(1) 业务组合管理举措
我们将从资本盈利能力和增长潜力这两个轴线上把握业务组合,并加强管理,建立一个能够实现全集团优化的投资组合。具体而言,业务组合分为4个领域:增长领域(能源、企业信息与通信、建筑设备房地产)、预期领域(可再生能源和其他与GX相关、海外、区域合作伙伴关系)、成熟领域(个人信息通信、有线电视、水产)和改革领域(考虑改善业务利润或撤出/出售的业务),我们根据投资组合的定位促进每项业务的扩张和效率提高,并旨在提高投资回报率。至于预期的领域,其想法是继续努力创建新业务,从而实现集团的可持续增长。此外,通过加强企业间合作,它将进一步形成集团协同效应。请注意,每项业务的资本盈利能力由特定业务的投资回报率利差(特定业务的ROIC-特定业务的WACC)管理。
(2)促进每项业务的扩张和效率
a) 增长领域
在能源业务方面,我们将扩大客户群,并通过扩大并购和区域服务来实现可持续增长。此外,为了保持和提高盈利能力,我们还将推广成本降低措施,例如通过DX提高业务效率。作为一项 DX 策略,我们正在着手引入自动抄表器。除了降低抄表操作成本外,通过实时掌握客户消费,将有可能在最佳时机进行销售,而且预计物流效率将得到提高。智能电表的安装率已从2024/3年底的70%上升到2024/9财年底的88%,我们的目标是到2026/3财年末达到100%。此外,正在推动为TLC成员引入智能手机应用程序,以此作为加强客户联系点的措施。通过使用智能手机应用程序,可以在最佳时机向客户传输各种信息,并且可以预期降低取消率和提高交叉销售率等效果。截至2024/9年底,在124.2万名TLC成员中,申请介绍成员的数量稳步增加到41.8万人(截至2024/3年底,在12.4万名TLC成员中,有37.5万名申请介绍会员),我们的目标是到2026/3财年末引进1,000人。
在企业信息通信业务中,除了通过通信基础设施投资、数据中心容量增强等扩大业务领域和扩大股票收益外,还通过扩大数字人力资源来捕捉强劲的DX需求。此外,在建筑设备房地产业务中,我们的目标是通过共享各集团公司拥有的建筑房地产、土木工程设备等资源来扩大东海地区的市场份额,从而实现利润增长建设等,并创造团队协同效应。
b) 预期区域
在可再生能源和其他与GX相关的业务方面,除了努力促进太阳能发电(包括PPA)和蓄电池系统的普及外,我们的目标是在2050年实现碳中和,同时投资处理能源发电业务的公司并收集可再生能源业务的运营知识。作为投资记录,TOKAI于2023/7年参与了菲律宾水力发电公司REPOWER能源开发公司的首次公开募股,并以约8亿日元收购了6500万股股票(投资比率10%,每股5菲律宾比索)。之后,又收购了更多股份,2024/2年,投资比率变为20%,使其成为权益法相关公司。此外,在2023/12年,东海风险投资与孵化有限公司投资了信天翁科技有限公司,该公司正在开发用于发电的浮动垂直轴海上风车*。目的是在GX领域作为一个群体收集信息和积累知识。尽管自2024/4年以来没有投资记录,但未来考虑投资与GX业务相关的公司的政策不会改变。
* 与传统(水平轴式)风车相比,浮动垂直轴海上风车是一项有望降低制造成本和运营成本的技术,这要归因于风车制造方法的独创性,而且能够减小漂浮在海中的浮动部分的尺寸。与各种公司和组织的联合研究已经开始。
关于海外业务,在能源业务方面,我们在越南有液化石油气销售公司,在菲律宾有水力发电公司作为股权法相关公司,我们正在发展诸如AWS引入支持之类的业务,主要在印度尼西亚和台湾的信息和通信业务。关于海外业务,对短期业务业绩的影响微乎其微,但这一发展有望促进中长期利润。
关于区域合作,集团各公司都在通过社区服务和公私伙伴关系促进各项举措。具体而言,负责有线电视业务的子公司经营4个健身房*,东海天然气在静冈县经营2个露营地。第一个地点是 “Bikuishiyama宁静的夜间露营地”,该露营地于2024/3年开放,是振兴山区的基地,旨在实现藤枝市正在努力的 “藤枝陶器村概念”。另一个地点是挂川市建立的露营地和温泉设施 “奈良森之都这个村庄”(2022年用户数量:74,000个露营地/63,000个温泉设施)的业务转移项目。挂川市以私有化为目的进行了公开发行,该公司于2023/10年度入选,并于2024/4年开始运营。
*由Ki-link株式会社特许经营的24小时健身房 “RETIO BODY DESIGN(比例身体设计)” 在东海有线电视株式会社经营2家门店,在仓敷有线电视株式会社经营2家门店。
(3) ESG 管理举措
该公司的目标是通过加快ESG计划来进一步改善市盈率,从而实现可持续增长。
a) 环境(环境)
为了在2050年实现碳中和,我们将通过客户的能源使用和我们自己的业务活动来推广GX。在客户能源使用方面,我们将促进节能设备的普及,促进可再生能源的引进,促进与该地区一体化的低脱碳化,并加强对原材料脱碳的应对。此外,在我们自己的业务活动中,我们正在努力通过DX推广来提高液化石油气业务的交付效率和自动抄表,在内部安装太阳能发电设备,并将商业场所使用的电力转换为可再生能源。
b) 社会(社会)
作为对人力资本的投资,我们将促进最大限度地发挥人力资源和组织的活力,改善员工的福祉。具体而言,将加强自主运营商支持、再培训支持等,以实现 “理想的个人”。此外,为了实现 “理想的组织”,我们将努力实现多样化的工作方式,修改提高工作满意度的制度,实施顶层健康管理,对管理人员进行心理安全培训和辅导培训。
c) 治理(治理)
为了确保全面的合规和治理,我们将加强对官员和管理人员的培训,并促进进一步提高本组织的合规意识。此外,内部控制将得到加强,治理将贯穿整个组织。
(作者:FISCO 客座分析师佐藤乔)