島津製作所は、10月3日にX線テレビシステム「SONIALVISION G4」向けソフトウェア「Smart FOV(スマートエフオーブイ)」を国内で発売します。本ソフトウェアを使用することで、X線透視撮影の際、装置の寝台を動かすことなく撮影視野を移動でき、内視鏡を通じてカテーテルやガイドワイヤなどのデバイスを胆管や膵管に進めて透視・撮影しながら検査・治療を行うERCP(endoscopic retrograde cholangiopancreatography、内視鏡的逆行性胆管膵管造影)や患者の嚥下機能を透視撮影で観察する嚥下造影検査において、安全性の向上と検査・治療時間の短縮を実現します。
ERCPは、胆石の詰まりによる胆管の閉塞や膵管の狭窄などの疾患に対して用いられる治療法です。口から入れた内視鏡を通したガイドワイヤやカテーテルを胆管や膵管に挿入します。カテーテルを通じて造影剤を注入し、X線透視と撮影を行いながら胆管や膵管の異常を詳しく調べます。ERCPの臨床現場においては「寝台を動かさずに安全に撮影視野の移動を行いたい」「予期せぬ寝台移動により内視鏡が十二指腸から抜けるリスクを回避したい」というニーズがありました。当社はこれらのニーズに応え、視野移動と画像拡大表示を可能にするデジタル処理技術により、寝台を動かさずに、X線検出器のサイズ内の任意の位置に視野を移動できる「Smart FOV」を開発しました。「Smart FOV」は医師が意図しないタイミングで寝台が動くリスクを抑えて、「患者の安全性の確保」「手技の効率化」「医療従事者間の円滑なコミュニケーション」を支援します。
また、本ソフトウェアの発売に合わせて、透視画像上のデバイスを強調し、視認性を高める透視画像処理技術「DeEP」の操作性を改善しました。「Smart FOV」の提供と、臨床有用性が高い「DeEP」の性能向上により、当社は患者および医療従事者の負担を軽減いたします。なお、「Smart FOV」は今冬から海外発売を予定しており、12月に開催されるRSNA(Radiological Society of North America、北米放射線学会)にも出展します。
島津製作所は中期経営計画において、画像診断機器とAIやIoT技術を用いて新たな付加価値を提供する、「イメージングトランスフォーメーション(IMX)」戦略を推進しています。今後もカテーテルなどデバイスの微小化や高度化に対応した画像診断機器・ソフトウェアを通じて、低侵襲治療を支援していきます。
「Smart FOV」利用イメージ
(点線部分が検査開始時、黄色い部分が移動後の視野範囲を表す)
島津製作所將於10月3日在國內推出X射線電視系統"SONIALVISION G4"的軟件"Smart FOV(智能FOV)"。使用本軟件可在X射線透視拍攝時,無需移動設備的牀架,即可移動拍攝視野,並通過內窺鏡在膽管和胰管中透視和拍攝插管和引導線等裝置,進行ERCP(內窺鏡逆行性膽管胰管造影術)和觀察患者吞嚥功能的吞嚥造影檢查,實現提高安全性並縮短檢查治療時間。
ERCP是用於處理膽管阻塞和胰管狹窄等疾病的治療方法。通過口腔內窺鏡插入導管和導絲到膽管和胰管。通過導管注入造影劑,同時進行X射線透視和拍攝,詳細檢查膽管和胰管的異常。在ERCP的臨床環境中,存在需要"不移動牀架安全移動拍攝視野"和"避免意外牀架移動導致內窺鏡從十二指腸脫出"的需求。本公司針對這些需求開發了"Smart FOV",通過數字處理技術實現了視野移動和圖像放大顯示,可以在不移動牀架的情況下,在X射線探測器尺寸範圍內的任意位置移動視野。"Smart FOV"可抑制醫生意外移動牀架的風險,支持"患者安全保障","手術效率提升"和"醫療人員之間的順暢溝通"。
此外,隨着該軟件的發佈,我們還改進了透視圖像處理技術"DeEP",以突出透視圖像上的設備,並提高可見性。通過提供"Smart FOV"和性能提升卓越的"DeEP",我們將減輕患者和醫護人員的負擔。"Smart FOV"計劃從今年冬季開始在海外銷售,還將於12月參加北美放射學會(RSNA)的展會。
島津製作所在中期經營計劃中,推動"IMX(Imaging Transformation)"戰略,利用影像診斷設備和AI、物聯網技術提供新的附加價值。未來將繼續通過針對微創治療的導管等設備的微型化和高級化,提供支持低侵入性治療的影像診斷設備及軟件。
"Smart FOV"使用示意圖
(虛線部分表示檢查開始時,黃色部分表示移動後的視野區間)