クックビズ＜6558＞は、飲食業界特化の求人情報サイト「cookbiz」の運営等を行うHR事業、ホタテやホッケ、サバ等の冷凍加工業を行う事業再生・成長支援を手掛けている。

売上高全体に対してHR事業の売上高は約6割程度、事業再生・成長支援事業は約3割強を占めている。同社のHR事業では、飲食業界における正社員の転職領域に特化しており、特化型サービスとして人材紹介・求人広告・スカウトサービス等を一貫して提供。また、企業の事業戦略や年間採用計画に合わせた高単価の総合支援サービス「採用総合支援サービス」も提供している。取引先企業数は約9,800社、会員登録者数は25万人（うち飲食業界経験者は9割以上）で、取引先企業の業種・業態は多岐にわたり、多様な職種の求人依頼に対して国内最大級の飲食業界経験者を有するデータベースからマッチングを実現している。そのほか、特定技能外国人材の人材紹介・登録支援や飲食事業者向けのシフト管理・勤怠管理・給与管理SaaSプロダクトも提供している。一方、事業再生事業では、北海道の内浦湾を中心とした13の買参権を保有してホタテ、ホッケ、サバ等の冷凍加工業を展開。水産物の洗浄・選別・冷凍加工に特化しており、国内の水産加工会社や商社、一般消費者向けに販売している。

2024年11月期上期累計の売上高は1,708百万円（前年同期比31.7％増）、営業利益は117百万円（同26.9％減）で着地した。HR事業は繁忙期における育成負担増やサイトリニューアルの影響によって伸びが鈍化したが、事業再生事業は鮮魚やベビーホタテが好調に推移して大幅増収（同50.3％増）となった。事業再生・成長支援事業の好調を受けて通期業績予想を上方修正しており、売上高は3,500万円（前期比31.3%増、従来計画3,350百万円）、営業利益は351百万円（同21,1%増、据え置き）を見込む。

同社は、従来の強みである営業力だけではなく、サービス力によるHR事業の持続的な成長の実現に向けて、求人サイトやスカウトサービスの自動配信モデルへリニューアルしており、今後、従来のスカウトサービスにおける採用担当者の負担解消につながろう。市場環境は、有効求人倍率が全業種においてほぼ変動はないものの、飲食業界における求人ニーズが高水準で推移している。従事者数100万人のうち、年間20万人以上が転職する飲食業界の正社員転職市場では、転職者の決定経路は有料サービス（メディア・人材紹介・その他有料サービス）が半数強を占めており、その中でも人材紹介等の伸びが顕著。飲食業界に特化した正社員の人材支援を実施している企業はほとんどない。同社は人材紹介・求人広告・スカウトサービス等を全て提供しており、市場環境からも追い風が続こう。事業再生・成長支援事業の成長も著しいなか、HR事業の底堅い成長とともに中長期的な業績の2ケタ成長が続いていく可能性がある。直近の株価下落に対する戻りが鈍い中、同社の今後の動向に注目しておきたい。