■ラクト・ジャパン<3139>の中長期の成長戦略
2. 中期経営計画「NEXT-LJ 2025」の進捗状況
(1) 基本方針と主要施策
2023年11月期~2025年11月期の3ヶ年は、長期ビジョン達成のためのファーストステップとして成長に向けた基盤固めに注力する計画である。事業成長に向けて「Base 既存ビジネスの『進化』」「Growth アジア事業の拡大」「Challenge 次世代ビジネスの構築」の3つの基本方針と、各基本方針において事業成長を実現する施策とそれを支える経営基盤の強化策を掲げた。
既存ビジネスの「進化」においては、「サプライソースの多様化による安定供給」「ベストマッチングを生み出すコンサルティング営業」「日本産食材の輸出」によって事業成長を実現する方針だ。ポイントとなる重点施策は「サプライソースの多様化」だ。気候変動による世界各地域での酪農・畜産品の生産量の変動やウイルス、地政学的な供給リスクを避けるために、乳原料・チーズ部門はもちろんのこと、食肉食材部門においてもグローバルな調達ネットワークをさらに拡充し安定供給を図る。日本産食材の輸出については、国産脱脂粉乳の輸出の実績をベースに乳製品や健康食品などの輸出を検討中だ。
アジア事業の拡大については、「チーズ製造販売事業の拡大」「現地営業体制の強化、販売エリアの拡充」「宗教や多様な食文化に対応した高付加価値製品の開発」によって事業成長を実現する方針だ。ポイントとなる重点施策はアジアでの「チーズ製造販売事業の拡大」だ。2026年度に稼働予定のシンガポール新工場は、工場・設備の増設余地を残す予定であり、シンガポール新工場を起点として、将来はアジアの3工場の合計で現在の3倍近い15千トンの製造販売を目指す。現時点では、現地での許認可の遅れから工場稼働時期は少し遅れる見通しだ。新工場完成までは、現工場だけに負荷がかからないように、タイ工場の機能強化・生産性向上を図り、両工場のバランスをとりながら需要が拡大するアジアでの供給体制を維持することが課題だ。需要が高まっているシュレッドチーズなどのナチュラルチーズ加工品の販売も拡大する。プロセスチーズは原料となるナチュラルチーズに熱を加えて加工製造するため、プロセスチーズ製造ラインとナチュラルチーズ加工ラインが併設されている強みを生かせる。また、宗教上の問題をクリアし、多様なユーザーニーズに対応するためにビーガンチーズなどの高付加価値商品や小売向け商品など新商品を開発・製造していく計画だ。
次世代ビジネスの構築については、「機能性食品をはじめとした新たな商材の開発」「製造・加工の川下分野の拡充」「酪農などの川上分野への関与」によって事業成長を実現する方針である。ポイントとなる重点施策は「機能性食品をはじめとした新たな商材の開発」だ。機能性食品原料事業は、スポーツニュートリションや健康志向の機能性食品として消費が拡大するプロテイン食品市場において、原料となるホエイプロテインの販売をさらに拡大していく計画である。商材の開発に当たっては、ホエイプロテインと様々な機能を持つ食品原料との組み合わせを提案して差別化を図る戦略だ。事業展開に当たっては、主にECサイトで販売するブランドオーナーやスポーツジムに対して、OEM生産を行う協力企業と提携・協業して製品を企画・開発・提案していくビジネスモデルを既に構築している。今後は、市場に参入してくる一般の食品メーカーとも提携・協業して事業領域を拡大していく方針だ。アジアにおいても、日本の機能性食品は注目されており、今後はアジア向けの輸出など、三国間貿易も視野に入れている。酪農などの川上分野への関与については、海外のサプライヤーと連携した飼料原料の開発・製造や、日本とアジアの酪農家の人的交流などにより持続可能な酪農・畜産業への貢献を果たしていく方針である。
これら3つの基本方針の下、事業成長を実現するために、事業提携などM&Aを活用することも視野に入れ、幅広く施策を検討している。また、経営基盤強化に向けては、サステナビリティへの取り組みも強化している。サステナビリティ活動を担うサステナビリティ推進タスクチームを全社横断的なメンバーに再編成し、6つのマテリアリティの推進進捗管理を進めている。また、気候変動への適応及び環境負荷の軽減への取り組みとしてTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく気候変動関連の情報、Scope1,2,3排出量の算定、削減目標の設定を進め、継続的に公表していく。そのほか、人材開発の強化、ガバナンスの高度化、情報システムの整備を進める方針で、既に新人事制度の本格運用と本社の基幹システムの刷新準備が進捗している。
(2) 数値目標
中期経営計画は、2025年11月期で連結売上高200,000百万円、連結経常利益4,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,900百万円を目指し、同時にROEは10%以上、配当性向は20~25%、連結自己資本比率は30~35%を目指す。売上高は2023年11月期で160,000百万円、2024年11月期で180,000百万円を計画していたが、2023年11月期の実績は158,328百万円と計画をわずかに下回り、2024年11月期も予想は164,000百万円と計画を下回る。経常利益は、2023年11月期で3,200百万円、2024年11月期で3,600百万円を計画し、2023年11月期の実績は2,847百万円と計画を下回ったが、2024年11月期の予想は4,100百万円と計画を上回り、中期経営計画の目標とする4,000百万円を1期前倒しで達成する見通しだ。
中期経営計画の前提としている事業環境として、国内の輸入乳原料・チーズ、食肉への堅調な需要、高齢化の進行や健康意識の高まり、アジアの経済成長と食の欧米化といったメガトレンドは変わらないとの想定だ。しかし、飼料価格高騰などによる乳価の引き上げ、乳製品全般の値上げによる消費減退、国産脱脂粉乳の過剰在庫対策事業の延長による輸入粉乳調製品の販売減少、アジアにおける日本向け粉乳調製品原料の販売減少、中国経済の低迷の影響を受けたアジアでの乳原料の需要減少など、事業環境のマイナス要素は避けられないと考えている。同社は、現時点で事業環境認識を変えていないが、2024年11月期下期に見込んでいた国内事業の回復は上期から前倒しで進行している。ただし、為替や国内の生乳生産の動向、中国・アジアの経済動向など見通せないところも多く、現時点で中期経営計画の見直しを行う予定はなく、次期中期経営計画という新たなステージを見据えながら2025年11月期の事業戦略を策定していく。
また、経営面では、トップラインの拡大のみならず、企業価値向上に向けて収益性の改善とともに資本効率を意識した企業体質の強化を図っている。そのため、財務目標として収益性(ROE)、株主還元(配当性向)、財務安全性(連結自己資本比率)の3つの目標を掲げ、2025年11月期においてROE10%以上、配当性向20〜25%、連結自己資本比率30〜35%を目指している。現在、社内では事業部門ごとにROIC※の導入を試行しており、2025年11月期より本格導入する予定だ。併せて人事制度も刷新する予定であり、従業員の評価基準にROICを加え、資本効率に対する従業員の意識改革に取り組む。
※Return On Capitalの略。ロイックと呼ばれ、投下資本に対する利益率を表す。「税引き後の営業利益÷(自己資本+有利子負債)=売上高営業利益率×投下資本回転率」で計算する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
■Lacto Japan <3139> 的中长期增长战略
2。中期经营计划 “NEXT-LJ 2025” 的进展
(1)基本方针和主要政策
2023/11年度至2025/11年度的三年期计划侧重于巩固增长基础,以此作为实现长期愿景的第一步。对于业务增长,每项基本政策中都设定了 “现有业务的基础'进化'”、“亚洲业务的增长扩张” 和 “挑战下一代业务的建设” 三项基本政策,以及实现业务增长和加强支持业务增长的管理基础设施的措施。
在现有业务的 “演变” 中,一项政策是通过 “通过多样化供应来源实现稳定的供应”、“提供最佳匹配的咨询销售” 和 “日本食品的出口” 来实现业务增长。关键的优先政策是 “供应来源的多样化”。为了避免气候变化、病毒和地缘政治供应风险导致世界各个地区的奶牛养殖和畜产品产量波动,我们将进一步扩大我们的全球采购网络,不仅在乳制品原料和奶酪领域,而且在肉类食品领域,以实现稳定的供应。关于日本食品的出口,我们正在考虑根据国产脱脂奶粉的出口结果出口乳制品、健康食品等。
关于亚洲业务的扩张,政策是通过 “扩大奶酪生产和销售业务”,“加强当地销售体系,扩大销售区域” 以及 “开发与宗教和多样化饮食文化相适应的高附加值产品” 来实现业务增长。关键的优先政策是亚洲 “扩大奶酪的生产和销售业务”。新加坡的新工厂计划于2026年投产,计划为工厂和设备的扩建留出空间,从新加坡的新工厂开始,我们的目标是生产和销售15,000吨,这几乎是亚洲三家工厂未来总量的三倍。目前,由于当地许可和批准的延迟,预计工厂的运营期将略有延迟。在新工厂建成之前,需要增强泰国工厂的功能和生产力,从而只给现有工厂带来负担,以及维持亚洲供应体系,在平衡两家工厂的同时,需求不断扩大。需求不断增长的加工天然奶酪产品(例如切碎的奶酪)的销售也将扩大。由于加工过的奶酪是通过对作为原材料的天然奶酪加热来加工和制造的,因此可以利用加工奶酪生产线和与之相连的天然奶酪加工线的优势。此外,计划清除宗教问题,开发和制造新产品,例如纯素奶酪和零售产品等高附加值产品,以满足不同的用户需求。
关于下一代业务的建设,该政策是通过 “开发新产品,从功能性食品开始”,“扩大制造和加工的下游领域” 以及 “涉足奶牛养殖的上游领域等” 来实现业务增长。关键的优先政策是 “开发新产品,从功能性食品开始”。功能性食品原料业务计划进一步扩大乳清蛋白作为蛋白质食品市场原料的销售,该市场作为运动营养品和注重健康的功能性食品的消费量正在扩大。在开发产品时,通过提出乳清蛋白与具有各种功能的食品成分的组合来实现差异化是一种策略。在业务发展方面,我们已经建立了一种商业模式,通过与主要面向品牌所有者和在欧共体网站上销售的体育馆进行OEM生产的合作伙伴公司合作和合作,规划、开发和提出产品。展望未来,该政策是通过与进入市场的普通食品制造商合作和合作来扩大业务领域。在亚洲,日本的功能性食品也引起了人们的关注,将来也在考虑三边贸易,例如对亚洲的出口。关于参与奶牛养殖等川上产业,我们的政策是通过与海外供应商合作开发和制造饲料原料,以及日本和亚洲奶农之间的人际交流,为可持续的奶牛养殖和畜牧业做出贡献。
根据这三项基本政策,我们正在考虑采取广泛的措施,以期利用商业联盟等并购来实现业务增长。此外,还加强了可持续发展工作,以加强管理基础。负责可持续发展活动的可持续发展促进工作组已重组为全公司成员,并正在促进对六个实质内容的晋升进度管理。此外,为了适应气候变化和减少环境影响,我们将根据TCFD(气候相关财务信息披露工作组)的建议、范围1、2和3排放量的计算以及设定减排目标,继续发布与气候变化相关的信息,并持续发布这些信息。此外,根据加强人力资源开发、改善治理和改善信息系统的政策,新人事制度的全面运作和总部核心系统的更新准备工作已经在取得进展。
(2) 数字目标
中期管理计划的目标是截至2025/11财年的合并销售额为20亿日元,合并普通收益为40亿日元,归属于母公司股东的净收益为29亿日元,同时目标是实现投资回报率为10%或以上,股息支付率为20%至25%,合并权益比率为30%至35%。计划2023/11财年的销售额为160亿日元,2024/11财年的销售额为18亿日元,但2023/11财年的业绩为1583.28亿日元,略低于计划,对2024/11财年的预测比计划低1.64亿日元。计划截至2023/11财年的普通收入为32亿日元,2024/11财年的普通收入为36亿日元,截至2024/11财年的业绩低于该计划的28.47亿日元,但对2024/11财年的预测比该计划高出41亿日元,预计将实现中期管理计划的目标40亿日元学期提前完成。
作为中期经营计划前提的商业环境,可以假设对国内进口乳制品原料、奶酪和肉类的稳定需求、老龄化的进展、健康意识的提高以及亚洲的经济增长和食品的西化等大趋势不会改变。但是,我认为商业环境中的负面因素是不可避免的,例如饲料价格上涨导致的牛奶价格上涨等,乳制品价格上涨导致的消费下降,由于国内脱脂奶粉对策业务的扩大导致进口奶粉配方产品的销售减少,亚洲对日本的生奶粉原料销售下降以及对日本的需求下降亚洲的乳制品原料受中国经济低迷的影响。该公司目前对商业环境的看法没有改变,但预计将在2024/11财年下半年恢复的国内业务比上半年提前进展。但是,有许多事情是不可预测的,例如汇率、国内生奶生产趋势以及中国和亚洲的经济趋势等,而且目前没有审查中期管理计划的计划,在展望下一个中期经营计划的新阶段的同时,将制定截至2025/11财年的业务战略。
此外,在管理方面,我们不仅在扩大收入,而且还在提高盈利能力并加强注重资本效率的公司结构,以提高企业价值。因此,我们设定了盈利能力(ROE)、股东回报率(股息率)和财务安全(合并权益比率)这三个目标作为财务目标,我们的目标是2025/11财年的投资回报率达到10%或以上,股息率达到20-25%,合并权益比率达到30-35%。目前,该公司正在测试为每个业务部门引入投资回报率*,并计划从2025/11财年开始全面实施。同时,还计划对人事制度进行改革,在员工评估标准中增加投资回报率,并将努力改革员工对资本效率的认识。
*资本回报率的缩写。它被称为Loic,代表投资资本的回报率。其计算方法是 “税后营业利润÷(权益资本+计息债务)=销售额的营业利润率×投资资本的周转率”。
(由FISCO客座分析师松本明弘撰写)