■要約
デリカフーズホールディングス＜3392＞は外食・中食業界向けにカット野菜や、ホール（丸）野菜等を卸す、業務用青果物流通加工業の国内最大手で、農産物の流通を通じて農業の発展と人々の健康な生活づくりに貢献する創造型企業である。新型コロナウイルス感染症拡大（以下、コロナ禍）以降、事業ポートフォリオの変革を進めながら業容を拡大することに成功している。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比10.2%増の52,823百万円、経常利益で同63.5%増の1,258百万円と2期連続で過去最高を更新した。コロナ禍前の2020年3月期が売上高で40,413百万円、経常利益で641百万円であったことを考えれば、コロナ禍で実行した事業ポートフォリオ改革により、収益拡大に成功した企業の1つとして評価される。売上高は主力販売先となる外食業界の回復並びに人手不足に伴うカット野菜の需要拡大が増収要因となった。利益面では、人件費（研修費含む）や物流費の増加に加えて、奈良事業所が類焼のため一時操業停止を余儀なくされたこと、夏場の猛暑による一部野菜の市況が高騰したことの影響等があったものの、数量増効果や原価率低減、また下期に売価改善を進めたことが増益要因となった。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.1%増の55,000百万円、経常利益で同16.6%減の1,050百万円と増収減益を見込んでいる。売上高は外食業界向けを中心に拡大が続く見通しだが、2024年4月に稼働を開始した大阪FSセンター※の減価償却費並びに立ち上げコスト負担が減益要因となる。実質的な収益力を示すEBITDA（償却費控除前営業利益）では同2.9%増の2,200百万円と増益を見込んでいる。
※FS（Fresh&Speedy）センターは、物流機能とカット野菜等の製造加工機能を持つ拠点。既に東京、埼玉、名古屋、奈良、福岡、仙台（提携拠点）に開設し、今回の大阪での開設により主要大都市でのFSセンター設置が完了した。
3. 中期経営計画
同社は2027年3月期までの第5次中期経営計画を発表した。長期ビジョン（10年後のありたい姿）として、1) 野菜の総合加工メーカーとしてのポジション確立、2) 持続可能な農業の実現、3) 個人の幸福と会社の繁栄の両立を実現、の3点を掲げ、10年後に売上1,000億円企業を目指すべく、新たな成長戦略に着手した。事業戦略としては、1) 各種ポートフォリオの変革、2) 青果物サプライチェーンの構造変革、3) 研究部門・開発部門への投資拡大、の3点に取り組み、業務提携先企業※との協業体制も構築しながら青果物の流通加工企業としてさらなる飛躍を目指す。経営数値目標としては、2027年3月期に売上高600億円、経常利益18億円、ROE（自己資本当期利益率）10.2%を掲げた。大型設備投資一巡により、2026年3月期以降は利益ベースでも成長ステージに入る見通しだ。なお、株主還元方針は継続的かつ安定的な配当を行うことを基本に、2025年3月期からは連結配当性向の目線を従来の20%程度から30%程度に引き上げ、2025年3月期の1株当たり配当金は前期と同額の12.0円（配当性向30.1%）を予定している。今後は利益成長とともに増配が期待できることになる。また、投資回収後フェーズでは自己株式取得も機動的に検討する意向だ。なお、従来より株主優待制度も導入しており、保有株式数や継続保有期間によって自社商品等の贈呈を行っている。
※2023年2月にエア・ウォーター＜4088＞、(株)ベジテックと業務提携を発表したのに続き、2024年3月に(株)神明ホールディングスも提携に加わり4社協業体制となった。全農とも2018年に業務提携契約を締結している。
■Key Points
・2024年3月期は外食需要の本格回復を追い風に過去最高業績を更新
・2025年3月期は新工場稼働による費用増で減益計画だが、EBITDAでは増益を確保する見通し
・FSセンターの全国展開が完了、長期売上目標1,000億円の達成に向け新たな成長戦略を始動、2027年3月期は経常利益18億円を目指す
・2025年3月期より連結配当性向の目安を20%程度から30%程度に引き上げ
（執筆：フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲）
■概要
Delica Foods Holdings <3392>是國內最大的農產品物流加工業，爲外食和中食行業提供切菜和圓形蔬菜等批發服務。通過農產品流通，爲農業的發展和人們的健康生活做出貢獻。自新冠病毒傳播以來，成功地擴大了業務規模，並實施了業務投資組合變革。
2024年3月期業績概要
2024年3月期的綜合經營業績創下了連續兩年的歷史新高，在銷售額方面同比增長10.2％至52,823百萬日元，在經常利潤方面同比增長63.5％至1,258百萬日元。考慮到新冠疫情爆發前的2020年3月期銷售額爲40,413百萬日元，經常利潤爲641百萬日元，Delica Foods Holdings在實施業務投資組合變革方面取得了成功，被評價爲成功擴大收益的公司之一。銷售增長的原因在於，外食業回歸以及切菜需求擴大等。在利潤方面，儘管受到人工成本（包括培訓費用）和物流成本的上升以及奈良工廠因火災而被迫停產以及夏季高溫導致部分蔬菜市場價格上漲等影響，但數量增加效應、降低成本率以及銷售價格改善等因素成爲增加收益的要素。
2. 2025年3月期財務預測。
2025年3月期的綜合經營業績預計將出現增收減益的情況，預計銷售收入將同比增長4.1％至55,000百萬日元，經常利潤將同比下降16.6％至1,050百萬日元。銷售收入預計將以外食業爲中心繼續擴大，但自2024年4月開始運營的大阪FS中心的折舊費用以及啓動成本將成爲減益的因素。在不考慮折舊前的經營利潤（EBITDA）實質增長2.9％，預計爲2,200百萬日元。
※ FS（Fresh & Speedy）中心是一個擁有物流和切菜等加工功能的基地。它已經在東京、埼玉、名古屋、奈良、福岡、仙台（合作基地）設立，並在大阪設立了中心，完成了在主要大城市的FS中心設施。
3. 中期經營計劃
該公司公佈了截至2027年3月的第5箇中期經營計劃。長期願景是：1）確立作爲綜合蔬菜加工製造商的地位，2）實現持續的農業，3）實現個人幸福和公司的繁榮。爲了成爲2027年3月期達到銷售額1000億日元的公司，該公司正在着手新的增長策略。作爲業務戰略，將實施以下三項措施：1）各種投資組合的改革，2）結構性改革的青果供應鏈，3）加大對研究和開發部門的投資，並建立與業務合作伙伴企業※的協作關係，以成爲更好的青果物流加工企業。作爲企業目標，該公司設定到2027年3月期銷售額爲600億日元，經常利潤爲18億日元，ROE爲10.2％。預計，由於大型設備投資一次性付款，從2026年3月期開始收益增長的階段。此外，股東回報政策的基本原則是持續和穩定的紅利支付。從2025年3月期開始，將把聯合紅利支付比重的目標從約20％提高到約30％，預計2025年3月期每股紅利將維持前一期的12.0日元（紅利支付比例爲30.1％）。未來，預計將期待隨着收益的增長，股息也會增加。此外，在投資回收階段，該公司也考慮到自己購買股票的可能性。此外，自公司成立以來，它一直在推行股東優待制度，並通過持有股份數量和持續持有期間來贈送自己的產品。
※ 2023年2月，Air Water <4088>和Vegetech股份有限公司宣佈了業務合作後，神明控股株式會社於2024年3月也加入了該合作團隊。全農也在2018年與他們簽訂了業務合作協議。
■Key Points
・2024年3月期在外食需求回升的推動下實現了最好的業績
・2025年3月期由於新工廠的投產，成本增加導致利潤下降，但EBITDA有望確保收益增長
・FS中心的全國擴展已經完成，開始實施新的成長戰略，以實現長期銷售目標爲1,000億日元，並以2027年3月期爲目標實現經常利潤1.8億日元。
自2025年3月彙報期起, 連續分紅比例的目標將從約20%上升至約30%左右。
（撰寫：FISCO客座分析師佐藤讓）
