■アートネイチャー<7823>の中期経営計画
1. 環境認識
国内毛髪市場は長期的に逓減傾向にあり、短期的にはコロナ禍から回復しつつあるものの未だコロナ禍前の規模に戻っていない状況で、中期的には機会とリスクが併存する環境といえる。リスクは、理美容師の採用競争激化につながる人手不足の慢性化、円安や資源の高騰による原価・販管費の増加、人口減少による将来の顧客数減といったことへの懸念である。機会は、アフターコロナ直後の旅行や外食への一時的な集中からウィッグへの需要回復や、高年齢者雇用安定法改正や女性活躍推進法改正によるウィッグの利用機会の拡大などで、販促や集客の変化も合わせて、資金力のある同社にとって短中期的に差別化につながる可能性が高いと思われる。また、中長期的には、差別化を背景に主要顧客層であるシニアのアクティブ化や団塊ジュニア世代の取り込みなどが想定されるため、同社にとって引き続き旺盛な需要が見込まれるマーケットといえる。
2. 新中期経営計画「アートネイチャーAdvanceプラン」
同社は2017年、グループのモットー“ふやしたいのは、笑顔です”をベースに、創立60周年の2027年をターゲットに“新しい未来を切り開く10年、Open the Future”という長期ビジョンを策定、顧客満足の向上と利益増強を重視した経営に転換するとともに新しい事業領域に踏み出すこととなった。長期ビジョンを3つの中期ビジョンに分け、1stSTEPの中期経営計画2017-2019では、「次代を切り拓くアートネイチャーの誕生」というビジョンによって、「しっかりとした土台」を作り上げるべくそれまでの低迷から業績回復に努めた。2ndSTEPとなる中期経営計画2020-2022では、「次代を切り拓くアートネイチャーの挑戦」のビジョンのもと、先行き不透明のなかでも事業価値をさらに高める挑戦を実行した。2024年3月期に始まった3rd STEPの中期経営計画2023-2025「アートネイチャーAdvanceプラン」では、これまでの成果と課題をテコに間近となった長期ビジョンの実現に向け、「次代を切り拓くアートネイチャーの飛躍」というビジョンの達成を目指す。
「アートネイチャーAdvanceプラン」では、同社を取り巻く環境変化は大変激しいが、業績向上とシェア拡大、新領域の事業開発によって、売上高500億円超を目指している。主要テーマを価値創造、サステナビリティ推進、市場との対話の3つにフォーカスし、価値創造では、国内毛髪業界におけるマーケットリーダーとしてのポジションの確立と新領域の事業開発を推進する。サステナビリティ推進では、コーポレートガバナンス・コードの対応強化やSDGsの実践により持続可能な社会を実現する一方、持続的な企業価値の向上に向けて労働生産性・生産安定性・事務効率性の向上を図る。市場との対話では、情報開示のさらなる改善や追加の株主還元策を検討している。これにより、財務目標として、2026年3月期に売上高523億円、経常利益率10.0%(52.3億円)、ROE10.2%を狙う。非財務目標としては、毛髪業界シェア40%超、GHG排出量の設定(2025年まで)、女性管理職比率22%以上、男女間賃金格差現状+1.0%以上、男性育児休業取得率82%以上を目指す。2024年3月期は業績が厳しかったが、他社も同じ環境にあるため男女ともに同社のシェアは伸びていると思われ、引き続き当初目標に向かって以下のような成長戦略を進めているところである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
■Art Nature<7823>中期經營計劃
1. 環境認知
國內毛髮市場長期遞減,短期雖正在從新冠肺炎危機中復甦,但未能恢復至危機前的規模。因此,中期環境中存在機會和風險。風險包括:人力短缺導致美容美髮師的競爭加劇,原材料成本和銷售費用增加,人口減少導致未來顧客數量減少等問題。機會包括:從疫情後旅行和餐飲反彈開始,到假髮需求的恢復,以及隨着超高齡僱傭安定法和女性活躍推進法改革的到來,假髮使用的機會會逐漸擴大,隨之而來的是促銷和客流變化,對於具備資金實力的該公司來說,短期中期看,假髮有可能能讓其擁有差異化優勢。此外,中長期看,由於差異化,公司的重要顧客群中的老年人在積極參與,以及團體僱傭安定法和團體少年一代的吸引,該公司仍將面臨旺盛的市場需求。
2. 新中期經營計劃“Art Nature Advance計劃”
2017年,公司以集團的座右銘“我們希望的是笑容”爲基礎,制定了以建立在2027年創立60週年爲目標的長期願景“新的未來,開創10年,Open the Future”,並轉變了以提高顧客滿意度和增加利潤爲重點的經營,同時開始步入新的業務領域。將長期願景分爲三個中期願景,在第一個中期經營計劃2017-2019中,通過“開創下一代Art Nature”的願景,努力實現“堅實的基礎”,從低迷中恢復業績。第二個中期經營計劃2020-2022以“開拓下一代Art Nature”爲願景,在不透明的前景中,實行增強業務價值的挑戰。從2023年3月期開始的第三個中期經營計劃2023-2025“Art Nature Advance計劃”,通過現有的成果和問題,致力於實現逐漸接近的長期目標,以“開拓下一代Art Nature的突破”爲願景。
在“Art Nature Advance計劃”中,雖然公司所處的環境變化非常激烈,但通過提高業績和擴大份額、開拓新領域的業務開發,目標是實現超過500億日元的營業收入。主要關注三個主題:創造價值、推進可持續性、與市場對話。在創造價值方面,將推動成爲國內毛髮行業的市場領導者並開拓新領域的業務開發。在推動可持續性方面,通過加強企業治理法規和實踐SDGs,實現可持續社會,並提高勞動生產率、生產穩定性和辦公室效率,以實現持續的企業價值提升。在與市場對話方面,正考慮更進一步改進信息披露和添加股東回報策略。因此,其財務目標是在2026年3月期達到營業收入5230億日元,經常利潤率10.0%(523億日元),ROE10.2%. 非財務目標是,毛髮行業份額超過40%,設置GHG排放量(直到2025年),女性管理職位比例超過22%,男女之間資薪比率差異現狀+1.0%以上,男性取得育兒假期的率達到82%以上。2024年3月期其業績表現嚴峻,但由於其他公司也處於同一環境中,因此男女員工在公司佔據的份額似乎仍在增加,該公司在繼續推進以下增長策略方面保持初步目標。
(作者:華富證券客座分析師宮田仁光)