以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人ブロガー三竿郁夫氏(ブログ「IA工房」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
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【2025年DXが進化する - 7つの視点】
DX(デジタルトランスフォーメーション)があるゆる業界のイノベーションを牽引するデジタル産業革命の時代に突入しているが、2024年は、特にエヌビデアを筆頭にDXの進化を支える半導体株に注目が集まった。いろいろな産業の中でDXが進化してきているので、今年もそれらの動向から目を離せない。DXが引き起こしているイノベーションの動きが激しいいくつかの業界を取り上げ、IoT,半導体,AIに関連づけた視点から最先端をいく企業を取り上げてみたい。
<DXが引き起こしているイノベーション>
1.農業/畜産DXの視点
食物や動物を産業にしている業界のDXによるイノベーションが凄い。
農業では、土壌の湿度や農地の健康状態の管理、最適な農薬や水やり、植物の成長状況の監視、作物の収穫量や病害のリスクの予測等、ロボットやドローンを使いAIを活用したDXが着々と実現し始めている。
畜産でも、大規模牧場化に伴い、それぞれの個体や装置にIDをつけ、生体に各種センサーをつけることで、授乳や飼料の食管理、種付けから出産までの生育管理、行動を把握した健康管理等のAIを活用したDXが浸透しつつある。
・スマート農業パッケージを提供するAgrist<非上場>は、農作物の収量を予測する「AGRIST AI」を開発し、最適な施肥量や灌水量を設定して高精度な収量予測を実現することで農業経営をサポートしている。AGRIST AIは、MicrosoftのAzureの強力なプラットフォームとCopilotのAI機能の支援を受けている。
・岩渕畜産<非上場>は、千葉県のブランド牛「しあわせ絆牛」を生み出す畜産農家を、DXを活用して支えている。また、同社の酪農部門では、飼料の与え方、授乳・搾乳管理、IDに紐ついた牛の行動から把握する健康管理、出産飼育管理等、ロボットやDXをフル活用して牛乳の美味しさを追求している。
2.医療DXの視点
コロナ禍をきっかけとして医療分野でのDXの進展も著しい。
遠隔治療やAI創薬が大きな話題になっている。
・難病の克服や創薬のスピード化で治験の難しさの壁があるが、エムスリー<2413>は「治験君」という治験の入り口から出口まで支援するサービスを提供している。ソニーG<6758>は、エムスリーと提携し、オンラインの健康相談や医師の紹介といった福利厚生サービスの支援を行っている。
・大塚ホールディングス<4578>大塚製薬は、英国の会社と共同でAIを活用した有望な化合物の絞り込みに着手し、創薬のスピードアップと研究コスト削減を目指している。
3.教育DXの視点
イノベーションが最も遅れていた学校や教育産業がいよいよ個人の能力に合わせた究極の教育手法へ動き出す。コロナ禍を乗り越えて、大学でも、オンライン授業、学習管理、学生とのコミュニケーションの学習管理システム(LMS)の活用を進めている。学習履歴に基づいてその進展や成績に合わせて教材や会話のやりとりを自動生成していく教育の効率化が進みそうだ。
・プラスアルファ・コンサルティング<4071>は、統合型スクールマネジメントシステム「ヨリソル」の顧客を増やし、教職員の働き方改革を支援するだけでなく、学習者と教職員の性格診断機能や不登校予兆検知機能を提供している。
・ベネッセ<非上場>は、AIを高度に使いこなすための「問う力」と「見極める力」に注目し、より個に応じた対応を実現して学習の質の向上に努めている。
・DuolingoのDuolingoアプリは、世界でもっともダウンロードされている語学学習アプリだ。生成AIの言語モデルを使い、ロールプレイング形式で会話の練習が楽しくできる機能もリリースした。
4.スマホ/AI半導体の視点
いろいろな産業でのDXを具体的に実現するにあたって、その顧客サービスのツールとして、世界に15億台ほど普及したスマホが大いに活用される。スマホの中の半導体の進化やAI化がもたらすアプリケーションの進化がDX化の肝となっている。スマホ・半導体関連の素材・組み立て・アプリケーションのバリューチェーンの確立が大きな課題であるが、地政学的な戦いにもからんできている。
各企業にとっては、ビジネスを成功させるためのバリューチェーンの観点からの連携戦略が重要になってきている。
・ソニーG<6758>は、Appleやその他のスマホ向けのイメージセンサーを大量に生産しているが、熊本に進出したTSMC<台湾>との連携も強めている。
・スマホの電子部品は、多くの日本企業に強みがある。ソニーG<6758>, TDK<6762>,京セラ<6971>、村田製作所<6981>等々の企業業績は、スマホ顧客との連携に左右される。
・半導体工程につかわれる素材や製造装置・検査装置も日本企業の強いところである。信越化学<4063>、SUMCO<3436>, 東京応化工業<4186>、ディスコ<6146>、アドバンテスト<6857>等々。
いずれも、中国、中国台湾、韓国にあるお客様の工場への最適な供給体制を模索している。
5.観光DXの視点
究極のサービスを提供することは、観光業界で勝つための大きな指標であるが、その究極のサービスを実現していく観光DXの準備が整いつつある。
・株式会社Plaru<非上場>が提供する観光のプランをAIが自動生成するアプリPlaruが面白い。場所・時間・行きたい場所の条件等旅行計画を自動生成してくれる。
・星野リゾート<3287>は、究極のサービスをめざしているが、簡単な質問から目的に合わせたぴったりホテル診断がホームページ内でできるようになっている。
・オリエンタルランド<4661>ディズニーランドの「東京ディズニーリゾート・アプリ」には、来場者のためのいろいろなサービスが盛り込まれている。特に待ち時間という大きな課題を克服するための工夫がなされていて、そうした気配りがリピーター獲得につながっているようだ。
6.自動車産業/MaaSの視点
2024年はEVシフトへの計画の減速が話題になったが、長期的にはエンジンからハイブリッド車へそしてEVへの流れは変わらない。その状況を見極めながら、自動運転をはじめとしたMaaSへのさらなるデジタル化の展開を見逃してはいけない。あらゆる移動を最適化することがMaaSの本質なので、自動運転による最適化は一つの大きな要素となる。それらを支えるDX/AI技術開発が加速している。したがって巨大な自動車産業/MaaS産業のバリューチェーンに関わる一つ一つの企業が大きな変革期に来ていることを認識する必要があり、その変革の流れにどう対応するかが重要である。また、その変革の基盤となる通信技術、AI半導体、パワー半導体の大きな流れも見逃せない。
・ソフトバンクG<9984>の自動運転構想が話題になっている。AI関連の特許や投資に注力し、安全性をより追求した自動運転レベル6を提案している。
・デンソー<6902>は、MaaS/自動運転への時代の流れに対応して、トヨタ<7203>グループの電装会社という立場を脱して、半導体事業の拡大を目指す。EVの駆動を制御する効率の良いSiCパワー半導体や自動運転等で使われる生成AIに適した半導体の開発も視野に入れている。
・パワー半導体で世界4位の三菱電機<6503>は、ネクスペディア<オランダ>と電力効率の良いSiCパワー半導体を共同開発し、供給体制でも連携している。
7. 脳科学/AGIの視点
イーロンマスクは、テスラから宇宙開発へそしてAI会社、体内マイクロチップへと夢を追っている。「東大教授が語り合う10の未来予測」という本の最初に出てくるのが、人間の機能のダウンロード。脳科学の進展とAGI(汎用AI・強いAI)そして無線充電の技術の進化が、体内マイクロチップ実現への道を開こうとしている。
スウェーデンでは、IDチップを親指の付け根に入れて改札を通る人が3000人を超えたと言われている。Alphabetの子会社Verily<非上場>やVivokey Japan<非上場>が体内マイクロチップのビジネスを日本で始めている。今後、決済用に始まって、健康管理用、人間の機能向上用の体内マイクロチップビジネスが発展していきそうだ。この分野にどんな日本企業が本気で取り組むか注目したい。
7つのDX視点で牽引する企業の例をいくつかあげたが、他にもDXを牽引する有望な企業が出てきている。どこがDX化の急速な流れを掴み勝ち残っていくか注目していきたい。
執筆者名:三竿郁夫 IA工房代表
ブログ名:「IA工房」
参照: 「DXで変わる100の景色(森戸裕一著)
「東大教授が語り合う10の未来予測」(編者:瀧口友里奈)
「つながる脳科学」(編者:理化学研究所)
「2030半導体の地政学」(太田泰彦著)
「2024年DXの屋台骨を支える半導体に関わる戦い」(FISCO記事: 三竿郁夫)
各社のホームぺージ、報道記事等
以下是菲斯科社交報告員個人博主三竿鬱夫(運營博客「IA工房」)撰寫的評論。菲斯科積極與信息發信的個人合作,努力向投資者們傳遞更加多樣化的信息。
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【2025年DX的進化 - 七個視角】
DX(數字化轉型)正在引領各個行業的創新,進入了數字產業革命的時代,2024年,特別以英偉達爲首,DX的進化備受關注的半導體股。各個行業中DX的進化正在進行,所以今年也不能忽視這些動向。DX引發的創新動態在一些行業中異常激烈,想從物聯網、半導體、人工智能相關的視角來介紹一些走在最前沿的企業。
<DXが引き起こしているイノベーション>
1.農業/畜牧業DX的視角
將食物和動物產業化的行業,因DX而產生的創新令人震驚。
在農業中,土壤溼度和農田健康狀況的管理、最佳農藥和灌溉、植物生長狀況監測、作物產量及病害風險預測等,正在逐步實現利用機器人和無人機結合AI的DX。
在畜牧業中,隨着大型牧場化的推進,爲每個個體和設備貼上ID,並在生物體上裝載各類傳感器,實現對哺乳和飼料的食務管理、從配種到分娩的生長管理、行爲監測的健康管理等方面的AI應用正逐漸普及。
提供智能農業解決方案的Agrist<非上市>開發了能夠預測農作物產量的「AGRIST AI」,通過設置最佳施肥量和灌溉量,實現高精度的產量預測,從而支持農業經營。AGRIST AI得到了Microsoft Azure強大平台和Copilot AI功能的支持。
巖淵畜產<非上市>利用DX支持千葉縣的品牌牛「幸福紐帶牛」養殖者。此外,該公司的乳製品部門通過全力使用機器人和DX,從飼料投餵、哺乳和擠奶管理到關聯ID的牛隻行爲監測、分娩飼養管理等方面,努力追求牛奶的美味。
2. 醫療DX的視點
因爲新冠疫情,醫療領域的DX進展顯著。
遠程治療和AI藥物研發成爲熱點話題。
儘管在克服難病和加快藥物研發過程中面臨臨牀試驗的諸多困難,但M3<2413>提供了從臨牀試驗的進入到出口全程支持的「臨牀試驗君」服務。索尼G<6758>與M3合作,提供在線健康諮詢和醫生推薦等福利服務支持。
大冢控股<4578>大冢製藥與英國公司共同開始利用AI篩選有前景的化合物,旨在加速藥物研發和降低研究成本。
3. 內地教育股的視角
在創新最爲滯後的學校和教育產業,終於開始朝着適應個人能力的終極教育方法邁進。經歷了新冠疫情的衝擊,各高校也在推動在線課程、學習管理、與學生的溝通的學習管理系統(LMS)的應用。根據學習歷史,將根據進展和成績自動生成教材和對話的高效教育方式似乎正在加速推進。
·Plus Alpha Consulting<4071>正在增加其綜合學校管理系統「Yorisol」的客戶,不僅支持教職員工的工作方式改革,還提供給學習者和教職員工的個性診斷功能及不在校預兆檢測功能。
·Benesse<非上市>關注「提問能力」和「判斷能力」,致力於通過更個性化的應對提升學習質量,充分發揮AI的優勢。
·Duolingo的Duolingo應用程序是全球下載量最多的語言學習應用。該應用利用生成式AI的語言模型,推出了以角色扮演形式進行有趣的會話練習的功能。
4. 手機/AI半導體的視角
在各種產業具體實現DX的過程中,作爲客戶服務工具,全球約有15億台普及的手機被廣泛應用。手機內部半導體的進化及AI化帶來的應用進化成爲DX化的核心。建立與手機及半導體相關的材料、組裝及應用的價值鏈是一個重大課題,並且正與地緣政治的鬥爭有關聯。
對各企業而言,從業務成功的角度來看,價值鏈的協作戰略變得愈發重要。
・索尼集團<6758>正在大量生產針對蘋果和其他智能手機的圖像傳感器,同時也在加強與已經進駐熊本的台積電<臺灣>的合作。
・智能手機的電子元器件在許多日本企業中具有優勢。索尼集團<6758>、TDK<6762>、京瓷<6971>、村田製作所<6981>等公司的業績受到與智能手機客戶的合作影響。
・用於半導體工藝的材料、製造設備和檢測設備也是日本企業的強項。信越化學<4063>、SUMCO<3436>、東京應化工業<4186>、DISCO<6146>、Advantest<6857>等。
它們都在探索與中國、中國臺灣和韓國的客戶工廠之間的最佳供應體系。
5.旅遊數字化的視角
提供終極服務是贏得旅遊行業競爭的重要因數,但實現這一終極服務的旅遊數字化準備正在逐步成熟。
・由Plaru公司<非上市>提供的旅遊規劃,AI自動生成的應用程序Plaru非常有趣。它可以自動生成旅行計劃,包括地點、時間和想去地方的條件等。
・星野度假村<3287>追求終極服務,可以在其網站上從簡單的問題中進行符合目的的完美酒店診斷。
・ORIENTAL LND ADR<4661>的迪士尼樂園「東京迪士尼度假區·應用程序」爲來訪者提供了各種服務。特別是在克服等待時間這一大挑戰方面進行了許多創新,這些貼心的設計似乎助於吸引回頭客。
6. 汽車產業/MaaS的視點
2024年,關於電動車轉型計劃的減速成爲熱門話題,但從長遠來看,從發動機到混合動力車,再到電動車的趨勢不會改變。我們必須洞察這一情況,注意無人駕駛等MaaS的進一步數字化發展。優化所有交通是MaaS的本質,因此無人駕駛的優化將成爲一個重要因素。支持這些的DX/AI技術開發正在加速。因此,參與龐大汽車產業/MaaS產業價值鏈的每個企業都面臨巨大的變革期,識別如何應對這一變革的潮流是至關重要的。此外,作爲這種變革基礎的通信技術、AI半導體和電力半導體的發展趨勢也不可忽視。
・軟銀G<9984>的無人駕駛構想引發了關注。該公司專注於AI相關的專利和投資,提出了更追求安全性的無人駕駛等級6。
・電裝<6902>響應MaaS/無人駕駛的潮流,正在擺脫豐田<7203>集團的電裝公司身份,力圖擴大半導體業務。電動車驅動控制的高效SiC電力半導體和用於無人駕駛等的生成AI適用半導體的開發也在視野之內。
・在電力半導體領域,全球排名第四的三菱電機<6503>與Expedia<荷蘭>共同開發高效的SiC電力半導體,並在供給體系上進行協作。
7. 腦科學/AGI的視點
埃隆·馬斯克正從特斯拉向太空開發、然後是AI公司、體內微芯片等夢想邁進。《東京大學教授對話的10個未來預測》一書開篇提到人類功能的下載。腦科學的發展與AGI(通用AI·強AI)及無線充電技術的進步,正在爲體內微芯片的實現鋪路。
在瑞典,超過3000人已經在拇指根部植入ID芯片以通過檢票。Alphabet的子公司Veru Inc<非上市>和Vivokey Japan<非上市>在日本開始了體內微芯片的業務。未來,從支付用途開始,健康管理和人類功能提升的體內微芯片業務可能會不斷髮展。我希望能夠關注到哪些日本企業會認真投入這一領域。
我列舉了一些在七個DX視角下引領的公司的例子,但還有其他有潛力引領DX的企業正在湧現。我希望關注哪些地方能夠抓住DX化的快速潮流並脫穎而出。
作者:三竿鬱夫 IA工房代表
博客名稱:「IA工房」
參考:“DX將改變的100個景象(森戶裕一著)
「東大教授對話的10個未來預測」(編者:瀧口友裏奈)
「連接的腦科學」(編者:理化學研究所)
「2030半導體的地緣政治」(太田泰彥著)
「2024年DX的支柱半導體相關的鬥爭」(FISCO文章:三竿鬱夫)
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