■今後の見通し
● 2025年3月期通期の業績見通し
三洋化成工業<4471>の2025年3月期通期の連結業績予想(2024年9月27日付で各利益を上方修正)は、売上高が前期比9.1%減の145,000百万円、営業利益が同84.2%増の9,000百万円、経常利益が同22.1%増の10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が4,000百万円(前期は特別損失計上で8,501百万円の損失)としている。上期の状況を鑑みて、前回予想(2024年5月14日付の期初公表値、売上高145,000百万円、営業利益8,000百万円、経常利益9,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が2,500百万円)に対して、売上高を据え置いたが、営業利益を1,000百万円、経常利益を500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を1,500百万円それぞれ上方修正した。親会社株主に帰属する当期純利益については、高吸水性樹脂事業などからの撤退に伴って計上する特別損失が期初の想定を10億円程度下回ることも寄与する。
前期比では、売上高は高吸水性樹脂事業などからの撤退により減収だが、各利益は潤滑油添加剤や永久帯電防止剤など高付加価値製品の拡販効果や、高吸水性樹脂事業などからの撤退による収益性改善効果により大幅増益(最終黒字転換)予想としている。なお修正後の通期予想に対する上期の進捗率は売上高が53.1%、営業利益が49.5%、経常利益が49.9%である。親会社株主に帰属する当期純利益の進捗率は上期に特別損失を計上したため23.5%にとどまっているが、下期はその影響が一巡する。2024年3月期をボトムとして、2025年3月期以降は収益のV字回復が期待できると弊社では考えている。
■成長戦略
経営方針「WakuWaku Explosion 2030」を推進
1. 2030年のありたい姿と「新中期経営計画2025」
同社は2022年3月に、2030年のありたい姿に向けた経営方針として「WakuWaku Explosion 2030」を策定した。グループスローガンを「変える。」から「WakuWaku」へ刷新するとともに、不連続な成長を目指すという強い想いを「Explosion」という言葉に込め、環境に調和した循環型社会、健康・安心にくらせる社会、一人ひとりがかがやく社会を目指している。一方、2030年のありたい姿に基づいて、2024年のあるべき姿として同社の事業活動を「新たな成長軌道」「基盤事業からの展開」「基盤事業の見直し」に再整理した。「新たな成長軌道」では化学の枠を超えたイノベーションで環境・社会課題の解決に貢献し、「基盤事業からの展開」では強みを活かした事業領域の拡大や深耕による成長を目指す。「基盤事業の見直し」では構造改革の加速と環境視点での事業転換を推進している。
また、2030年のありたい姿に基づいて、2023年5月に「新中期経営計画2025 −ありたい姿に向けた変革の加速−」(2024年3月期〜2026年3月期)を策定した。基本方針としては、事業戦略では「基盤事業からの展開」「基盤事業の見直し」「グローバル展開」を、将来に向けては「新たな成長軌道」「社会課題の解決」「成長を支える仕組み」を掲げた。具体的な施策として、「基盤事業からの展開」では高付加価値製品群(カーボンニュートラルおよびQOL(生活の質)の向上に貢献する注力5製品群=特殊繊維用薬剤、特殊電子部品用薬剤、潤滑油添加剤、永久帯電防止剤、医療・医薬関連)への設備投資と拡販の加速、「基盤事業からの見直し」では基盤製品群の収益改善、「ものづくり大改革」によるサプライチェーン全体での効率化と収益改善、ウレタン事業とSAP事業の構造改革、「グローバル展開」では海外での拡販を推進している。
業績目標としては、最終年度2026年3月期の売上高2,000億円、営業利益150億円を掲げている。営業利益目標達成(2023年3月期比66億円増)に向けた計画としては、外部環境変化(需要回復)で35億円増、サプライチェーン全体の改革(ナフサ連動適正価格化、「ものづくり大改革」による効率化と収益改善)で30億円増、構造改革(ウレタン事業とSAP事業の構造改革)で10億円増、高付加価値製品群の拡販で25億円増、固定費の増加で34億円減としている。
「基盤事業からの展開」で掲げた高付加価値製品群(注力5製品群)の拡販については、2025年3月期の目標を売上高345億円、営業利益53億円、営業利益率15.3%としている。中間期の実績は売上高173億円、営業利益28億円、営業利益率16.5%で順調な進捗となっている。特殊繊維用薬剤は風力発電用風車の需要回復で炭素繊維集束剤が復調、特殊電子部品用薬剤は自動車の電装化・EV化によりアルミ電解コンデンサ用電解液「サンエレック」が増加基調、潤滑油添加剤は自動車関連産業全般が不調な状況でも同社の粘度指数向上剤「アクルーブ」は売上拡大基調、永久帯電防止剤は半導体関連の需要回復で好調、医療・医薬関連は大腸内視鏡検査用用途での需要が拡大している。なお粘度指数向上剤「アクルーブ」については、新車市場よりも規模の大きいアフター市場が存在すること、エンジン車に比べて「アクルーブ」使用量の多いHV車・PHV車の増加に伴って需要が拡大基調であることに加え、ディーゼル車用、EV用、航空機用など新規需要への展開による拡販も推進している。
また「基盤事業の見直し」では、ポリプロピレングリコール(PPG)生産に関する共通課題解決を目的に、2023年5月に三井化学<4183>と共同(折半出資)で有限責任事業組合(LLP)「ジャパンポリオール(責)」を設立した。生産協力による合理化や原料調達協力及びさらなる連携の可能性を検討する。また同年10月には、サプライチェーン全体での価値向上を実現すべくSCM統括本部を新設した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
■未來的展望
● 2025年3月期的全年業績展望
三洋化成工業<4471>的2025年3月期全年合併業績財務預測(2024年9月27日的各項利益上調修正)爲:營業收入較上期減少9.1%,爲145,000百萬元;營業利潤同比增加84.2%,爲9,000百萬元;經常利潤同比增加22.1%,爲10,000百萬元;歸屬於母公司股東的當期凈利潤爲4,000百萬元(上期由於計入特別損失,虧損爲8,501百萬元)。根據上半年的情況,對前次預測(2024年5月14日的期初公佈值,營業收入145,000百萬元,營業利潤8,000百萬元,經常利潤9,500百萬元,歸屬於母公司股東的當期凈利潤2,500百萬元)維持營業收入不變,但將營業利潤上調1,000百萬元、經常利潤上調500百萬元、歸屬於母公司股東的當期凈利潤上調1,500百萬元。歸屬於母公司股東的當期凈利潤的調整還受益於高吸水性樹脂事業等撤退帶來的特別損失低於期初預期約10億日元。
與上期相比,由於高吸水性樹脂事業等撤退,營業收入出現下降,但各項利潤受潤滑油添加劑和永久帶電抑制劑等高附加值產品的擴銷效應以及高吸水性樹脂事業等撤退帶來的盈利能力改善效應,預計將大幅增加(最終實現扭虧爲盈)。修正後的全年預測中,上半年的進展率爲:營業收入53.1%,營業利潤49.5%,經常利潤49.9%。歸屬於母公司股東的當期凈利潤的進展率由於上半年的計入特別損失僅爲23.5%,但下半年這一影響將會消退。我們認爲2024年3月期爲底部,自2025年3月期起將期待收益的V字復甦。
■增長戰略
推進經營方針「WakuWaku Explosion 2030」
1. 2030年的理想願景和「新中期經營計劃2025」
該公司在2022年3月制定了以2030年理想願景爲目標的經營方針「WakuWaku Explosion 2030」。將集團口號從「變革。」更新爲「WakuWaku」,並把追求不連續增長的強烈願望融入到「Explosion」一詞中,目標是實現與環境和諧共存的循環型社會、能夠健康安心生活的社會、每個人都能閃耀的社會。另一方面,根據2030年理想願景,以2024年爲目標,將公司的業務活動重新整理爲「新的增長軌道」、「基盤業務的展開」、「基盤業務的審視」。在「新的增長軌道」中,致力於通過超越化學界限的創新來解決環境和社會問題;在「基盤業務的展開」中,目標是通過發揮強項的領域擴展和深入實現增長;在「基盤業務的審視」中,推進結構改革的加速和環境視角下的業務轉型。
此外,基於2030年的願景,制定了2023年5月的《新中期經營計劃2025 - 向願景邁進的變革加速 - 》(針對2024年3月期至2026年3月期)。作爲基本方針,在業務戰略上提出了「從基礎業務的展開」、「對基礎業務的重新審視」、「全球展開」;在未來的發展方向上則包括「新的增長軌道」、「社會問題的解決」、「支撐增長的機制」。具體措施方面,在「從基礎業務的展開」中,集中投資於高附加值產品群(對碳中和及生活質量的提高有貢獻的五大重點產品群=特殊纖維用藥劑、特殊電子元器件用藥劑、潤滑油添加劑、永久帶電防止劑、醫療・醫藥相關),加快擴展銷售;在「對基礎業務的重新審視」中,致力於基礎產品群的收益改善;藉助「製造業大改革」實現整個供應鏈的效率提升和收益改善,進行聚氨酯業務和SAP業務的結構改革;而在「全球展開」中,則積極推動境外的銷售擴展。
作爲業績目標,設定了最終年度2026年3月期的營業收入爲2000億日元,營業利潤爲150億日元。爲了實現營業利潤目標(較2023年3月期增加66億日元),計劃通過外部環境變化(需求恢復)增加35億日元,通過整個供應鏈的改革(與石腦油掛鉤的合理價格化、通過「製造業大改革」帶來的效率提升和收益改善)增加30億日元,通過結構改革(聚氨酯業務和SAP業務的結構改革)增加10億日元,進一步通過高附加值產品群的擴展銷售增加25億日元,同時由於固定成本的增加減少34億日元。
關於「從基礎業務的展開」中提出的高附加值產品群(五大重點產品群)的擴展銷售,2025年3月期的目標爲營業收入345億日元,營業利潤53億日元,營業利潤率15.3%。中期的實際業績爲營業收入173億日元,營業利潤28億日元,營業利潤率16.5%,推進順利。特殊纖維用藥劑因風力發電用風車需求恢復而有所回暖,特殊電子元器件用藥劑因汽車的電氣化和EV化,鋁電解電容器用的電解液「サンエレック」呈上升趨勢,潤滑油添加劑儘管汽車相關產業整體不景氣,但該公司的粘度指數改善劑「アクルーブ」銷售依舊呈擴展趨勢,永久帶電防止劑因半導體相關的需求恢復表現良好,醫療・醫藥相關則因大腸內窺鏡檢查的需求擴大而增長。同時,粘度指數改善劑「アクルーブ」在新車市場之外,還存在更大規模的後市場,且由於與內燃機相比,使用「アクルーブ」的HV車型和PHV車型數量增加,需求呈擴展趨勢,同時還在向柴油車用、EV用、飛機用等新需求擴展銷售。
此外,在「對基礎業務的重新審視」中,爲了解決聚丙烯醇(PPG)生產中的共同問題,2023年5月與三井化學<4183>共同(各出資一半)成立了有限責任事業組合(LLP)「日本聚醇(責任)」。預計將探討通過生產合作實現的合理化、原材料採購合作及進一步合作的可能性。此外,在同年10月,爲了實現整個供應鏈的價值提升,新設立了SCM統括總部。
(撰寫: FISCO特約分析師 水田雅展)