■日本電技<1723>の中期経営計画
1. 長期経営指針「ND For The Next 2030」
将来的に人口減少などを背景に新築ビルが続々と建てられるような時代ではなくなることから、足元で好調の空調計装関連事業の新築工事も長期的には現状以上に大きく広がらないと言われている。一方、既設工事では、築年数の経過とともに改修時期の到来する大型ビルが増加していくことが想定される。また、日本のエネルギー政策※1から、脱炭素社会の実現に向けて環境ビジネス市場は堅調に拡大すると予測されており、とりわけ建設業界ではビルを中心に究極の省エネであるZEB※2の実現に向けた取り組みが進められている。このため、省エネ・省力化を実現する同社の「計装エンジニアリング」技術に対する需要はますます高まると考えられている。産業システム関連事業においては、中長期的にAIやIoT、ICT技術といったDXを活用した工場のデジタル化(スマートファクトリー化)が追い風となって、市場が大きく広がることが期待されている。なかでもプロセスオートメーションやファクトリーオートメーションなど、工場設備の更新や生産管理システムの構築に関連する需要の増加が期待されている。
※1 国は2050年までにカーボンニュートラルの実現や2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指している。
※2 ネット・ゼロ・エネルギー・ビルのこと。
同社は、空調計装関連事業については同社を支える安定収益源、産業システム関連事業については成長ドライバーと考えており、2022年3月期に2031年3月期を最終年度とする長期経営指針「ND For The Next 2030」を策定した。さらに、「ND For The Next 2030」を、成長基盤を構築する「第1フェーズ(2022年3月期〜2024年3月期)」、成長基盤の拡大と生産性の向上を果たす「第2フェーズ(2025年3月期〜2028年3月期)」、さらなる飛躍と挑戦の「第3フェーズ(2029年3月期〜2031年3月期)」に分け、好調な空調計装関連事業のなかでも既設工事につながる新築工事で収益を拡大するとともに、既設工事で収益の積み増しを図る。一方、産業システム関連事業の独り立ちを進めた後、開拓余地が大きい産業システム分野に経営資源を投入し、産業システム関連事業の成長に弾みをつける考えである。なお、2024年3月期に終了した「第1フェーズ」は好調に推移したうえ、「2024年問題」を前に着実に対策を講じた点は高く評価できる。
環境改善などを背景に「第2フェーズ」「第3フェーズ」を上方修正
2. 新中期経営計画「第2フェーズ」
2024年4月にスタートした「第2フェーズ」では、成長基盤の拡大と生産性の向上を図るため、戦略的な人材の確保、育成、活用や協力会社の体制強化など人的資本の強化、及び生産性向上に向けたDX推進への積極的な投資を実行する。特に中長期的な課題である人手不足に対しては、積極的に対処する方針だ。残業上限規制適用開始など「2024年問題」に対しては、施工余力や収益性、竣工後のメンテナンス契約可否を勘案した選別的な受注活動へとシフトしたが、今後、人材確保や人材育成、DX推進による生産性の向上を推進する。人材育成に対しては、人材教育の専門部署「電技アカデミー」を2024年4月に開設した。新卒社員は本来1ヶ月の研修後に現場でのOJTを実施するが、現場が繁忙を極めていることもあり、本社の「電技アカデミー」で1年間集中して研修することで、効率的に新卒社員の、ひいては若年層の施工品質を引き上げ、さらには早期戦力化と離職の防止を図る。加えて、「電技アカデミー」を協力会社の人材育成や基盤強化にも活用することで、同社の中長期成長を下支えする。
このように生産性向上を図るものの人員増やベースアップを背景に人件費の増加が見込まれるが、事業環境など当初想定していた諸条件が改善したため、「第2フェーズ」初年度ではあるが、「第2フェーズ」及び「第3フェーズ」の目標を上方修正した。この理由は、「第2フェーズ」に関しては、受注環境が都市再開発の長期化と大型化、地方への広がりによって好調が継続、また、選別受注しなければならない状況が続いていることから採算も向上することが見込まれるためだ。もちろん、空調計装関連事業の新設工事向け人員強化が一巡すれば、既設工事と産業システム関連事業の想定以上に強いニーズを積極的に取り込むことができる。これにより、2028年3月期の財務目標について、ROE10%以上を12.5%、売上高420億円を450億円、営業利益65億円を80億円へと上方修正した。また「第3フェーズ」の2031年3月期目標も「第2フェーズ」の上方修正に伴い、ROE10%以上を12.5%、売上高450億円を525億円、営業利益60億円を90億円へと上方修正した。長期のシナリオは、空調計装関連事業は新設工事が横ばいプラスアルファで推移、2030年に向けた気候変動対応の案件を含め既設工事が大きく増える想定だ。また、産業システム関連事業もいよいよ活動を本格化、機会があればM&Aも検討する考えのようだ。なお、2026年3月期は、2025年3月期下期に大型の完成工事が集中する反動でやや足踏みとなりそうだが、同社の勢いが変わらなければ増収増益は確保できると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
■日本電技<1723>的中期經營計劃
1. 長期經營方針「ND For The Next 2030」
由於未來人口減少等因素,不再是新建大樓持續增建的時代,因此目前表現良好的空調儀表相關業務的新建工程在長期內也預計不會比現狀有更大增長。另一方面,隨着建築年限的增加,預期將越來越多大型建築進入翻新時期。此外,根據日本的能源政策※1,預測環境商業市場將穩步擴大,以實現脫碳社會,尤其是在建築行業,以大樓爲中心推進終極節能的ZEB※2的實現。因此,實現節能與省力化的本公司的「儀表工程」技術的需求預計將越來越高。在工業系統相關業務中,利用AI、物聯網、ICT技術等DX進行工廠數字化(智能工廠化)的趨勢將帶來市場的擴展。特別是與過程自動化和工廠自動化等工廠設備的更新及生產管理系統的構建相關的需求將有所增加。
※1 國家旨在到2050年實現碳中和,並在2030年度將溫室氣體減少46%相較於2013年度。
※2 指的是淨零能源建築。
本公司將空調儀表相關業務視爲穩定的收入來源,並將工業系統相關業務視爲增長驅動因素,並於2022年3月期制定了以2031年3月期爲最後年度的長期經營方針「ND For The Next 2030」。此外,將「ND For The Next 2030」分爲建立增長基礎的「第一階段(2022年3月期〜2024年3月期)」,擴展增長基礎及提高生產力的「第二階段(2025年3月期〜2028年3月期)」,以及進一步飛躍與挑戰的「第三階段(2029年3月期〜2031年3月期)」,不僅在表現良好的空調儀表相關業務中通過新建工程擴大收益,同時也在既有工程中增加收益。另一方面,在推動工業系統相關業務獨立後,將管理資源投入到具有較大開發空間的工業系統領域,以促進工業系統相關業務的增長。值得一提的是,2024年3月期結束的「第一階段」表現良好,且在「2024年問題」之前穩步採取了應對措施,這一點受到高度評價。
在環境改善等背景下,上調「第二階段」「第三階段」
2. 新中期經營計劃「第二階段」
2024年4月開始的「第二階段」將通過戰略性的人才保障、培養、利用以及合作公司的體制強化等,加強人力資本,以擴大增長基礎和提高生產力,並積極投資於推動生產力提升的數字化轉型(DX)。尤其是對中長期的人手不足問題,將積極採取應對措施。針對「2024年問題」,如加班上限規定的實施開始,儘管已經轉向考慮施工餘力、盈利能力及竣工後的維護合同可行性等因素進行選擇性承接訂單,但今後將繼續推進人才保障、人才培養、通過DX提升生產力。爲此,已於2024年4月開設了專業的人才教育部門「電技學院」。新員工本應在一個月的培訓後在現場進行OJT,但由於現場工作繁忙,可通過在總部的「電技學院」集中培訓一年,來有效提升新員工,進而提升年輕員工的施工質量,同時確保早期形成戰鬥力並防止離職。此外,通過「電技學院」爲合作公司的人才培養和基礎強化提供支持,從而支撐公司的中長期開展。
儘管這樣推動生產力提升,背景是人員增加和基礎工資上調預計將導致人力成本的增加,但由於業務環境等初始假設的諸多條件得到了改善,因此「第二階段」雖然是初年度,卻對「第二階段」和「第三階段」的目標進行了上調修正。原因在於,關於「第二階段」,由於訂單環境在城市再開發的長期化和大型化,以及向地方的擴展中持續保持良好,加上必須進行選擇性承接訂單的情況仍然持續,因此預計盈利能力也將提升。當然,空調設備相關業務的人力加強一旦完成,就能積極吸納預期外的強勁需求,包括現有工程和產業系統相關業務。因此,關於2028年3月期的財務目標,對ROE進行了上調修正,目標爲超過10%提升至12.5%;營業收入從420億日元上調至450億日元;營業利潤從65億日元上調至80億日元。此外,伴隨「第二階段」的上調修正,「第三階段」2031年3月期目標也被修正爲ROE超過10%提升至12.5%;營業收入從450億日元上調至525億日元;營業利潤從60億日元上調至90億日元。長期的情景顯示,空調設備相關業務的新設工程將保持平盤以上走勢,包含應對氣候變化的項目在內,預計到2030年,現有工程將大幅增加。此外,產業系統相關業務也將開始全面展開,若有機會也將考慮併購。需要注意的是,由於2025年3月期下半年的大型完工項目集中,2026年3月期可能會稍顯停滯,但只要公司的勢頭不變,增加收入和利潤是可保證的。
(作者:華富證券客座分析師宮田仁光)