■富士紡ホールディングス<3104>のESGへの取り組み
同社ではサステナビリティレポートを毎年発行してきたが、2024年より「サステナビリティレポート」に代えて「統合報告書」を発行することとなった。同社初となる「統合報告書2024」(2024年9月30日発行)では、財務情報だけでなく、同社の強みや成長戦略、サステナビリティ経営の取り組みなどを紹介し、投資家などステークホルダーに総合的な洞察を提供するものである。
1. サステナビリティ基本方針
同社グループは、サステナビリティを事業戦略の中核に組み入れた「サステナビリティ経営」を実践している。同社グループのサステナビリティ経営は、「儲ける」こと、「成長性」「収益性」「社会貢献」「誠実さ」に立脚した公正で透明性のあるSDGs経営をバランス良く実行していくことで、サステナビリティを実現していく点がポイントである。
2. 5つのマテリアリティ/重要課題の特定と推進状況
同社グループでは持続可能な社会を実現するために、事業活動がステークホルダーや経済、社会、環境に与える影響やインパクトの大きさについて分析し、投資家視点のマテリアリティ(財務マテリアリティ)とステークホルダー視点のマテリアリティ(環境・社会マテリアリティ)を統合した「ダブル・マテリアリティ」という考え方に基づき、5つのマテリアリティを特定している。
(1) 持続可能な環境・社会実現に向けた真摯な取り組み
地球環境の持続可能性を維持していくため、自然環境及び生物多様性の保全に取り組み、資源の有効活用を推進することで、安定的で持続可能な調達・供給体制の確立を目指す。
(2) 気候変動への適応
脱炭素社会に向け事業活動における環境負荷の軽減に取り組むとともに、将来生じるであろう気候変動の企業への影響にも適切に対応する。
同社では、低炭素化社会実現に向けた気候変動対応を経営上の重要課題と認識して、2021年11月に気候変動に関する情報開示の指針となるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース・Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に賛同した。TCFD提言に沿って、気候変動に関連する重要情報を開示している。また、CDP※の質問書(気候変動)へ回答し、「B-」(前回の「C」から1ランク向上し、マネジメントレベル)評価を受けている。
※ CDPは投資家に代わって各企業宛てに質問書(気候変動、フォレスト、水セキュリティの3種類)を送り、企業の回答内容について分析・評価を行い、その結果を開示している英国の非営利団体である。
(3) 多様なステークホルダーとの価値の共創
事業活動を通じて、多様なステークホルダーとの対話を重視するとともに、地域社会などの持続的な成長・発展にも寄与する。
(4) 多様性を受容し、個々の能力を最大限発揮できる環境づくり
性別、年齢、国籍などにとらわれない多様性を尊重し、安心して能力を発揮できるよう、職場環境の整備を進める。
(5) コーポレート・ガバナンスの高度化及びコンプライアンス・リスクマネジメントの徹底
透明性の高い経営を実践するとともに、事故・不正を未然に防止するリスクマネジメント体制を堅持し、持続的成長を目指す。
このほかにも、環境(Environment)面では、2024年3月期実績として、CO2排出量(Scope1とScope2):59.9千トン(前期比-3.1千トン)、同(Scope3):94.0千トン(前期比-15.9千トン)と環境負荷低減を進めている。また、ガバナンス(Governance)面では、取締役9名中社外取締役が4名、うち2名が女性(うち、1名外国人)と、経営の多様性が順調に進んでいる。
3. サステナビリティ推進体制
同社では、中期経営計画「増強21-25」の始動に合わせ、SDGsに関連する重要課題への対応を通じたサステナビリティ経営を同社グループ全体で横断的に推進するために、2021年4月に「ESG推進委員会」を設置した。「ESG推進委員会」は、井上社長を委員長として、環境(Environment)分科会、社会(Social)分科会、ガバナンス(Governance)分科会の3つの分科会で構成されている。ミッションは同社グループのサステナビリティの課題に適切に対応するとともに、サステナビリティへの対応が中長期的な企業価値の向上につながるよう提言を行うことである。サステナビリティ推進に関わる各種検討課題に各分科会で取り組み、重要度に応じてESG推進委員会、経営会議、取締役会に諮る体制となっている。取締役会は経営全般にわたる重要な方針・施策を最終決定するとともに、経営会議、ESG推進委員会などの管理監督を行う。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
■富士紡控股<3104>對esg的承諾
該公司一直每年發佈可持續性報告,但從2024年開始,將發行「綜合報告書」取代「可持續性報告書」。 首次發行的「綜合報告書2024」(2024年9月30日發佈)將介紹財務信息以及該公司的優勢、增長戰略、可持續經營等內容,爲投資者和其他利益相關者提供全面的洞察。
1. 可持續性基本方針
該公司集團實行將可持續性納入業務戰略核心的「可持續性經營」。 該公司集團的可持續性經營建立在「盈利性」、「成長性」、「盈利性」、「社會貢獻」、「誠信」的基礎上,以公正透明的SDGs經營平衡地實施,實現了可持續性。 這是實現可持續性的關鍵點。
2. 5種物質/重要問題的確定和推進情況
該公司集團爲了實現可持續的社會,分析了業務活動對利益相關者、經濟、社會、環境造成的影響和影響大小,基於投資者視角的物質性(財務物質性)和基於利益相關者視角的物質性(環境·社會物質性)的統一「雙重-物質性」思想,確定了5種物質性。
(1) 實現可持續環境·社會所做的真誠努力
爲了維持地球環境的可持續性,努力保護自然環境和生物多樣性,推動資源的有效利用,旨在建立穩定和可持續的採購·供應體系。
(2) 應對氣候變化
在推動朝着脫碳社會方向進行業務活動減少環境負擔的同時,也要妥善應對企業未來可能面臨的氣候變化影響。
公司認爲實現低碳社會對氣候變化的應對是經營上的重要任務,並於2021年11月支持了有關氣候變化信息披露的指南TCFD(氣候相關財務信息披露任務組)。公司正在按照TCFD的建議披露與氣候變化相關的重要信息。此外,回答了CDP的問卷(氣候變化),獲得了「B-」評級(從上一次的「C」提升了1個等級,達到管理水平)。
CDP代表投資者向各公司發送問卷(涉及氣候變化、森林、水安全三種類型),對公司的回答進行分析和評估,並披露結果。CDP是位於英國的非營利組織。
(3) 與各利益相關者共同創造價值
通過業務活動,重視與各種利益相關者的對話,同時也爲地區社會等可持續增長和發展做出貢獻。
(4) 接納多樣性,創造能夠充分發揮個人能力的環境
尊重性別、年齡、國籍等多樣性,推進辦公場所環境建設,使員工能夠安心發揮能力。
(5) 公司治理的高級化以及合規風險管理的徹底執行
堅持實行高透明度的經營,同時保持事故和不端行爲的風險管理體系,致力於持續增長。
此外,從環境方面來看,作爲2024財年的績效,二氧化碳排放量(Scope1和Scope2):59.9千噸(較上一期減少-3.1千噸),範圍3(Scope3):94.0千噸(較上一期減少-15.9千噸),在減少環境負荷方面取得進展。此外,在公司治理方面,董事會中的9名董事中有4名是外部董事,其中2名是女性(其中1名是外國人),公司領導的多樣性發展順利。
3. 可持續性推動機制
該公司設立了「ESG推動委員會」於2021年4月,以推進公司集團橫向推進可持續經營,以應對涉及SDGs的重要問題。該「ESG推動委員會」由井上總裁擔任主席,由環境(Environment)分委員會、社會(Social)分委員會和治理(Governance)分委員會組成。其任務是妥善處理該公司集團的可持續性問題,並提出建議,以確保可持續發展對中長期公司價值的提升產生效果。各分委員會在涉及可持續性推動的各種研究領域進行研討,並根據重要程度向ESG推動委員會,經營會議和董事會請示。董事會就涉及企業整體重要方針和措施做出最終決定,並進行經營會議、ESG推動委員會等的管理和監督。
(執筆:Fisco特約分析師 清水啓司)