■富士紡ホールディングス<3104>の中期経営計画
同社は2006年以降、その時々の経営課題を解決するために、5次にわたり中期経営計画を策定・実行してきた。中期経営計画「変身06-10」以降、「突破」「邁進」「加速」から「増強」へとつながるなかで、経営の最重要テーマを「変身」として、事業ポートフォリオの再構築により企業体質を強化し、2022年3月期は親会社株主に帰属する当期純利益が44億円超と過去最高を更新した。2021年からスタートした中期経営計画「増強21-25」では、儲かるビジネスへの転換により収益性を向上させ、「稼ぐ力」の強化を図ることで、最終年度は営業利益100億円の達成を目指している。
1. 中期経営計画「増強21-25」の全体像
2021年4月にスタートして4年目を迎えた中期経営計画「増強21-25」の前半(2021~2023年)は、高収益体質への転換と種まき時期と位置付けた。そして、2024年からの中期経営計画の後半(2024~2025年)は2025年のあるべき姿の実現に向け、“非連続的成長”を達成すべく、盤石な準備を行うことが喫緊の課題である。最大のキーポイントは研磨材や化学工業品を扱う中核事業のさらなる拡大のための「設備投資」の適時適正な実行である。大型設備投資の場合、発注してから稼働まで2年のタイムラグがあり、早期の意思決定が重要となるので今後も注視したい。
半導体業界の足元はシリコンサイクルによる需給変動はあるものの、これは循環的要素であり構造的には高成長を持続するので、同社も先行的に設備投資を行っていく。事業を拡大するためには、設備投資やM&A、アライアンスといったハード面の増強は不可欠であるが、ソフト面とのバランスも重要であることから、優秀な“人財”(特に研究開発人材)を確保し、その能力を存分に発揮できる環境をいかに整えるかが喫緊の課題である。
2. 経営目標と計画数値
同社は、中期経営計画「増強21-25」の全体方針である“儲かるビジネス”への転換を図り、収益性を向上させる(“利益あっての社会貢献”)としており、経営目標は2026年3月期の営業利益100億円(営業利益率16.7%)の実現を目指している。これは、2021年3月期の営業利益52億円の約2倍とチャレンジングな目標であり、同計画期間内の“非連続の事業拡大”が求められる数値である。この目標実現のために、2026年3月期の売上高目標は、2021年3月期比1.6倍の売上高600億円を掲げている。前述のとおり、これらの売上高・利益目標実現のカギとなるのは「適時適正な設備投資の実行」もしくは自社生産力を補完できる外部資源の調達・連携(アライアンスやM&A)の成否である。
2023年3月期下期から2024年3月期上期にかけて直撃した半導体不況により、研磨材事業を中心に大幅な減益となり、同社の成長力にブレーキがかかった。中期経営計画の後半(2024〜2025年)は、半導体需要が順調に回復したとしても、2025年度目標(売上高600億円、営業利益100億円)達成は厳しいかもしれない。同社では、目標到達時期の後ろ倒しを想定しつつ、中期的に売上高600億円、営業利益100億円を目指して研磨材や化学工業品事業への継続的成長投資は緩めることなく、実現していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
■富士紡控股<3104>中期經營計劃
同公司自2006年以來,已經制定並執行了5箇中期經營計劃,以解決當時的經營問題。從中期經營計劃「變身06-10」開始,逐漸從「突破」、「前進」、「加速」轉向「強化」,將經營的最重要主題定義爲「變身」,通過重新構建業務組合來加強公司實力,截至2022年3月期,歸屬於母公司股東的當期淨利潤超過440億日元,創下歷史新高。從2021年開始的中期經營計劃「強化21-25」旨在通過轉變爲盈利的業務來提高收益率,並通過加強「賺錢能力」來實現在最後一年達到100億元日元的營業利潤目標。
1. 中期經營計劃「強化21-25」的整體描述
自2021年4月啓動的中期經營計劃「增強21-25」已進入第四年,其前半部分(2021~2023年)被定位爲向高收益體質轉變和播種時期。而2024年開始的中期經營計劃後半部分(2024~2025年)則是爲了實現2025年的願景,面臨着實現「非連續增長」的挑戰,因此準備工作刻不容緩。最大的關鍵點是適時適當進行「設備投資」,以進一步擴大處理研磨材料和化學品的核心業務。對於大型設備投資,訂購到投入運營之間有2年的時間差,因此早期決策至關重要,今後也需持續關注。
儘管半導體行業受到硅週期的供給和需求波動影響,但這是一種週期性因素,結構上仍將保持高增長,因此該公司也會提前進行設備投資。爲了擴大業務,增強包括設備投資、併購(M&A)和聯盟在內的硬件方面是必不可少的,但重要的是軟面與硬麪的平衡,因此如何確保優秀的人才(尤其是研發人員),並使其充分發揮能力,是當務之急。
2. 經營目標與計劃數據
該公司計劃轉向「盈利業務」,提高收益性(「讓利潤回饋社會」),經營目標是實現2026年3月期營業利潤100億日元(營業利潤率16.7%)。這一目標是2021年3月期營業利潤52億日元的約2倍,是一個具有挑戰性的目標,要求在該計劃期間實現「非連續的業務擴展」。爲了實現這一目標,2026年3月期的營業收入目標是2021年3月期的1.6倍,達到600億日元。如前所述,實現這些營業收入與利潤目標的關鍵在於「適時適當的設備投資的執行」或外部資源的獲取與合作(聯盟或M&A)的成效。
由於2023年3月期下半年到2024年3月期上半年受到半導體行業衰退的直接影響,以研磨材料業務爲中心的大幅減益,使得該公司的增長力受到制約。儘管在中期經營計劃後半部分(2024〜2025年)中,假設半導體需求將順利回升,但實現2025年度目標(營業收入600億日元,營業利潤100億日元)可能會很嚴峻。該公司在設想將目標到達時間推遲的同時,目標是中期內達到營業收入600億日元、營業利潤100億日元,並將繼續進行對研磨材料和化學工業品業務的持續增長投資,決不鬆懈。
(執筆:Fisco特約分析師 清水啓司)