■No.1<3562>の中期経営計画「Evolution2027」の方向性
1. 長期ビジョン及び中期経営計画の位置付け
同社は、2024年4月に2030年のありたい姿「Vision2030」を公表した。100年企業にふさわしい企業体の形成を目指し、確固たる経営基盤を確立するため、「日本を元気にする一番の力へ。」へ経営理念を進化(事業領域の拡大)、顧客感動満足度の具現化、ITを活用した新しいビジネスの創出に取り組むとともに、2030年2月期の売上高240億円、営業利益34億円、時価総額300億円をイメージしている。
また、長期ビジョンと合わせて、その第1ステージとなる中期経営計画「Evolution 2027」(2025年2月期〜2027年2月期)を掲げた。中計は長期ビジョンの実現に向けて、構造改革を図り、次の成長を仕込む期間と位置付けられており、1) 経営基盤、事業基盤の再強化、構造改革、2) 事業領域拡大に向けた積極投資、3) 収益構造の安定化、4) サステナビリティ経営・人的資本経営の推進に取り組む考えだ。
2. 数値目標(ロードマップ)
中期経営計画「Evolution2027」最終年度である2027年2月期の業績目標として、売上高168億円、営業利益18.3億円、ROE20%以上、EBITDA21.6億円を目指す。ただ、初年度の2025年2月期は、持続的成長・企業価値向上に向け、経営基盤・事業基盤の再強化、構造改革に取り組む助走期間とし、2026年2月期から成長路線に転じるとともに、2027年2月期以降の飛躍を実現していくロードマップとなっている。
3. 企業価値向上に向けた重点戦略
(1) 経営基盤、事業基盤の再強化、構造改革
初年度の2025年2月期において、人的資本投資、システム投資、ストック強化への投資、M&Aなど先行投資を通じて経営基盤、事業基盤の再強化、構造改革に取り組む。特に、1) 新たな分野への進出(新商品・サービス拡充)、2) 顧客レイヤーの拡大(市場開拓、シナジーの創出)の2軸により、現在の中小企業を中心としたフロー型ビジネス主体の体制から事業領域を拡大していく。
(2) 事業領域拡大に向けた積極投資
M&A・事業提携並びにシステム投資に積極的に取り組む。特にM&A・事業提携については、1) 後継者問題を抱える地域企業や業容拡大を目指すBtoB企業、2) AIを活用したサービス開発企業、GDX関連企業、3) 社会問題であるITエンジニア不足の解消に向けたノーコード、ローコードソフトウェア提供企業※やSE企業、4) 新規事業分野への参入による成長領域の拡大などを目的とする。
※ ノーコード及びローコードとは、ソースコードのコーディングを行わない、あるいは少ないプログラムコードで開発ができる開発手法。専門チームがなくても開発が可能となることや、汎用性・拡張性に優れているとことなどにメリットがある。
(3) 収益構造の安定化
引き続き、1) 「No.1ビジネスサポート」の拡充と浸透、2) クラウドサービスの拡充、3) その他(通信機器事業・レンタル事業の拡充、新事業領域への展開等)により、ストック収益を伸ばしていく。具体的には、最終年度までに現在の1.5倍の規模に拡大させ、売上構成比で30%(現在は14.6%)に引き上げる※。
※ 売上構成比30%の内訳は、「No.1ビジネスサポート」を含む保守・サービスで20%、「デジテラス」を軸とするクラウドサービスで10%となっている。
(4) サステナビリティ経営・人的資本経営の推進
「日本の会社を元気にする一番の力へ。」という経営理念を礎に、社会と会社の持続的成長を実現するため、提供する商品・サービス、社内外の様々な企業活動において、サステナビリティ経営を推進する考えである。そのためには、人的資本の強化が特に重要になるとの認識に立ち、求める人材像(人に対する波及力、同社らしさ、学びと新たな価値の創造)に基づいて、人財育成や社内環境整備にも取り組む。
4. 財務戦略
経営基盤・事業基盤の再強化及び構造改革に向けて、戦略的成長投資(M&A、人財投資、IT投資)を積極的に行う考えであり、営業キャッシュ・フローを超える投資が必要な場合は、10億円~40億円の範囲で外部借入の活用も検討する。また、下限配当の設定や自己株式の取得を機動的に実施するなど、株主還元の充実(詳細は後述)にも取り組みつつ、財務規律は維持し、適正な安全性を確保する方針である。
5. 資本コストや株価を意識した経営の推進
前中期経営計画において、EPS及びROEは大幅に向上し、ROEは株主資本コスト(同社推定6%~8%)を大きく上回る水準にある。今後も利益成長により着実にEPSを積み上げるとともに、資本収益性にも目を配ることでROE20%以上の水準を確保していく。一方、最大の課題であるPERの引き上げについては、情報開示の拡充、IRの取り組み強化などを通じて、同社の成長期待に見合った適正な株価形成を目指す。
6. 今後の注目点
弊社では、長期ビジョン及び中期経営計画「Evolution2027」によって示された方向性は、これまでの成功体験に甘んじることなく、100年企業を見据えて自分たちの足りないものは何か、どう進化すべきかをバックキャスティングで判断し、構造改革に踏み切る決断をした点において非常に理にかなったものと評価している。これまでもM&Aなどを通じて外部資源を活用し、環境変化に合わせてパワーアップしてきた同社にとって、これからどのような進化を遂げていくのか、まさに経営手腕の見せ所と言えるだろう。注目すべきは、ハイパーとの業務提携等による販路拡大の動きである。数段上のレイヤー(100人規模)を含めて、いかに顧客層を拡大できるかがポイントとなろう。また、戦略的成長投資についても、構造改革に向けてどういった分野に資金投入し、どのような投資効果を目指すのか、具体的な動きを追うことは今後の戦略を探るうえでも重要な判断材料になるだろう。新たに参入したSES事業にも注目したい。早期に軌道に乗ってくれば、さらなる拡大の動き(M&A等)にも注意する必要がある。いずれにしても、新たな顧客層の開拓(顧客レイヤーの引き上げ)と新規事業の拡大は相互に連動するものであり、そういった視点からフォローする必要があるだろう。また、これらの動きとともに同社の成長性や収益性にも大きな変化が生じる可能性が高く、同社はまさに転換点にあるとの見方ができる。時価総額300億円に向けた道筋をいかにたどっていくのか、今後の動向を見守りたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
■No.1<3562>的中期經營計劃「Evolution2027」的方向性
1. 長期願景及中期經營計劃的定位
該公司於2024年4月公佈了2030年的願景「Vision2030」。爲了打造一個適合百年企業的企業體,旨在建立穩固的經營基礎,經營理念進化爲「成爲振興日本的最大力量。」(擴大業務領域),着重客戶感動滿意度的實現,利用IT創造新業務,同時計劃在2030年2月期實現營業收入240億日元,營業利潤34億日元,流通值300億日元。
此外,結合長期願景,提出了第一階段的中期經營計劃「Evolution 2027」(2025年2月期〜2027年2月期)。中期計劃被視爲實現長期願景,進行結構改革,培育下一階段增長的期間,1) 重新強化經營基礎、業務基礎和結構改革,2) 爲擴大業務領域進行積極投資,3) 穩定收益結構,4) 推動可持續經營和人力資本經營。
2. 數值目標(路線圖)
作爲中期經營計劃「Evolution2027」的最終年度2027年2月期的業績目標,目標是營業收入168億日元,營業利潤18.3億日元,roe20%以上,EBITDA21.6億日元。然而,初年的2025年2月期,作爲持續增長和企業價值提升的助跑期,進行經營基礎和業務基礎的再強化和結構改革,並於2026年2月期轉向增長軌道,之後在2027年2月期實現突破的路線圖。
3. 爲提升企業價值而採取的重點戰略
(1) 重新強化經營基礎、業務基礎和結構改革
在初年度的2025年2月期,致力於通過對人力資本投資、系統投資、存量增強投資、併購等前期投資,重新強化經營基礎和業務基礎,進行結構改革。特別是在1) 進軍新的領域(擴大新產品和服務),2) 擴大客戶層次(市場開拓、創造協同效應)這兩個方面,將目前以中小企業爲中心的流動型業務主體的體制進行擴展。
(2) 爲擴大業務領域進行積極投資
積極投入併購和業務合作以及系統投資。特別是在併購和業務合作方面,目標包括1) 面臨接班人問題的地方企業和希望擴大經營的BtoB企業,2) 利用AI進行服務開發的企業,GDX相關企業,3) 面對社會問題的IT工程師短缺,提供無代碼和低代碼軟件的企業及系統工程師企業,4) 通過進入新業務領域來擴大成長空間。
※ 無代碼和低代碼是指不進行源代碼編寫,或者僅用少量代碼進行開發的開發方法。即使沒有專業團隊也能進行開發,並且具有通用性和可擴展性等優點。
(3) 收益結構的穩定化
將繼續通過1) 擴大和滲透"No.1業務支持",2) 擴大雲服務,3) 其他(通訊設備業務、租賃業務的擴展、新業務領域的展開等)來提高存量收入。具體而言,計劃到最終年度擴大到目前的1.5倍規模,銷售構成比提升至30%(目前爲14.6%)。
※ 銷售構成比30%的具體內容是,包括"No.1業務支持"的維護和服務佔20%,以「泰勒斯」爲核心的雲服務佔10%。
(4) 推進可持續經營與人力資本管理
立足於「將成爲促進日本公司發展的最重要力量」,爲實現社會和公司的可持續增長,推動可持續性經營,提供商品和服務,並在內外各種企業活動中進行。因此,我們意識到人力資本的增強尤爲重要,基於對人才的需求(傳播力,公司特色,學習和創造新價值)進行人才培養和內部環境整備。
4. 財務戰略
爲了再強化經營基礎和事業基礎,積極進行戰略性增長投資(併購、人力資源投資、IT投資),如有超過營業現金流的投資需求,也會考慮利用10億日元至40億日元的區間進行外部借款。此外,還將靈活實施設定下限分紅和回購自家股票等措施,致力於充實股東回報(詳細內容後述),維護財務紀律,並確保適當的安全性。
5. 關注資本成本和股價的經營推進
在前中期經營計劃中,每股收益(EPS)和roe大幅提高,roe已遠超股東資本成本(公司估算6%~8%)的水平。今後將通過利潤增長穩步提升每股收益,並關注資本收益率,以確保roe保持在20%以上的水平。另一方面,對於最大挑戰的市盈率提升,將通過信息披露的擴充和投資者關係(IR)活動的加強,爭取形成與公司增長預期相匹配的合理股價。
6. 未來的關注點
我公司認爲,通過長期願景和中期經營計劃"Evolution2027"所示方向,未曾滿足於過往的成功經驗,而是放眼於百年企業,明確自身不足之處,如何演變應對,進行倒推判斷,並做出結構改革的決斷,這一做法非常合理。公司過去通過併購等方式利用外部資源,隨着環境變化增強自身實力,未來將如何演變,將是展示經營能力的關鍵時刻。值得關注的是,與高斯電子的業務合作等擴大銷售渠道的舉措。包括更高層次(約100人規模)在內,如何擴大客戶群將成爲一個關鍵點。此外,對於戰略性增長投資,在向結構改革邁進的過程中,資金將投入哪些領域,以及期望達到什麼樣的投資效果,具體的動態追蹤對未來戰略探索也將成爲重要的判斷材料。新近進入的SES業務也值得關注。如果能夠早日步入正軌,關注進一步擴大的動態(併購等)也很重要。無論如何,開拓新的客戶群體(提升客戶層次)與新業務的擴展是相輔相成的,因此需要從這一視角進行跟蹤。同時,這些動向也可能會使公司的成長性和盈利性發生巨大變化,可以看出公司正處於轉折點。如何沿着朝着300億日元流通值的目標邁進,值得我們繼續關注未來的動態。
(撰寫:FiSCO客座分析師柴田鬱夫)