■セレコーポレーション<5078>の成長戦略
1. 「ビジョン2030」の策定
同社では、2025年2月期を始期として長期経営ビジョン「ビジョン2030」を策定し、2030年に向けて「ありたい姿」を定め、今後のさらなる持続的な成長と、中長期的な企業価値の向上の達成に向けた方針や戦略を明確にした。同計画は、次世代の経営者へのバトンタッチを視野に入れ、さらに長期の経営ビジョンである「CEL未来戦略」の実現に向けた通過点の位置付けである。「ありたい姿」を「企業価値の極大化と物心両面の幸せの実現」としており、アパート専門メーカーのニッチトップとして高付加価値追求による粗利益率の向上を推進する。また、同社では、企業価値の向上において人的資本は経営の根幹であると捉えている。計画においても「ありたい姿」をいかに実現するかという観点から、人財戦略を策定・実行して持続的な企業価値向上を目指す。定量目標に関しては、2030年2月期に売上高400億円、営業利益40億円、営業利益率10.0%、ROE10.0%、PBR1.0倍を掲げている。収益構造については、ストック事業の比率を2023年2月期と同様に40.0%で維持し、全社コストをストック事業の利益で賄う方針だ。数字ありきではなく、理念・戦略ありきの計画であり、計数目標の達成と社員の物心両面の幸せの実現を両輪で推進することで、中長期的な企業価値の向上やステークホルダーのより深い満足につながると弊社では見ている。
2. 全社戦略
「ビジョン2030」の全社戦略として、「入るを量りて出ずるを制す」を念頭に、限りある経営資源を選択と集中によって絞り込み、圧倒的な差別化により付加価値を提供する。「セレフィロソフィ」の原理原則である「ニッチャーであれ」に基づき、「ゲスト」「エリア」「構造」「対象」を選択と集中により絞ったニッチ戦略を進める。ゲストとなるターゲットを、住まいにこだわりを持つ「未来を担う若者たち」に絞り込み、東京圏(1都3県)に事業エリアを限定する。開発においては、東京都城南・城西地区の角地に特化し、耐震性を兼ね備えた、自社工場生産により高品質が保てる鉄骨造に限定する。加えて、「My Style vintage」による差別化商品の展開を進め、リスクが低く市場成長率が高い「収益不動産」を重視する。これらのニッチ戦略により経営資源を集中させ、圧倒的な差別化による付加価値の提供を実現する。各施策の実行に際しては、取締役常務執行役員が委員長となり、下部組織に分科会を設けて改革を推進する。
3. 重点施策
「ビジョン2030」の重点施策として、「収益力の改善」「生産性の向上」「アパート経営に派生する新規ビジネスモデルの構築」を掲げている。収益力の改善に向けては、「My Style vintage」の商品構成比100%を目標に、同社独自の賃貸・建物管理メニューを拡充する。また、足元では「My Style vintage」の最上位グレード商品「vintage-Gran」の新設が予定されている。コンセプトに沿った高級感を重視した内装を計画しており、従来製品と比較して同社のブランド価値をさらに向上させる狙いがあると考えられる。生産性の向上に向けては、デジタル化による効率化や技術改革による工期短縮、ロボット等による自動化推進、共通部材による生産の効率化を進める。アパート経営に派生する新規ビジネスモデルの構築に向けては、請負・開発・管理以外のシナジーの効いた事業による多面的経営の展開を検討する。付加価値向上による収益力強化と効率性重視による費用削減を両輪で推し進め、高利益体質を創出していく。また、各施策の目的・手段・効果・目標を設定し、改革・改善により課題解決を目指す。
4. 投資計画
同社では、「ビジョン2030」で作成した定量目標を達成するため、損益バランスを考慮しつつ、2030年2月期までに総投資額55億円規模の投資計画を定めた。内訳として、セレアカデミーの運営や働き方改革等の人財開発に7.5億円、設計施工や生産の技術改革に7.5億円、プロセス改善による効率化を図るべくデジタル改革に5億円、M&Aや資本提携による多面的経営展開に向け35億円の投資を見込んでいる。同社の投資計画は、現状の資金残高や不動産事業資金、2年分の内部留保、運転資金を総合的に勘案したものであり、損益バランスに考慮した実現可能性の高い投資計画であると弊社では見ている。
5. 人的資本経営
同社では、人的資本を企業価値の向上や経営の根幹であると捉えている。「ビジョン2030」では、「人財の活性化」「人財育成」「人財獲得」「待遇・制度整備」の観点において、企業価値を最大限に創造するための施策を実行する。具体的な施策について、「人財の活性化」においては、役職定年制を導入するとともに、従業員のエンゲージメント向上に向けた各種施策、時間や場所にとらわれない働き方を推進する。「人財育成」においては、セレアカデミーの運営を通じて、経営陣・社員が持つべき判断基準・行動指針を明確にする。また、キャリアパスを定め次世代経営者の育成を進めるとともに、リスキリング(学び直し)の推進により専門性の高い人財を育成していく。「人財獲得」においては、企業価値の創造を支える専門性の高い多様な人財を採用する方針である。新卒・中途を含む採用戦略の策定や新卒者の育成体制の確立を進め、次世代を担う若手の採用にも注力する。また、ジョブ型雇用についても促進する。「待遇・制度整備」においては、平均年収900万円を目標に、ベースアップや業績配分の総原資見直しを行う。週休3日制導入についても検討を進めていく。
また、人的資本経営の一環として、業務プロセスや統制を自動化・外注化し、高度な専門性を持つ人財の比重がより高い配置構成とすることで、高付加価値創造体制への構築強化を図る。
2025年2月期中間期においては、主要分野で着実な進捗が見られた。人財の活性化においては、働き方改革と従業員のwell-being(幸せ)の両輪を強化する取り組みを推進している。働き方改革では、職場環境の改善と柔軟な働き方の導入を通じて、従業員の生産性と満足度を向上させることを目指している。この一環として、10月に従業員アンケートを実施し、従業員の意識調査に基づいたさらなる改善策を検討している。人財育成の観点では、セレアカデミーの開校準備が順調に進められている。2026年2月期にスモールオープンを予定しており、学部や学科の体系的な構築が進行中である。人財獲得面では、2024年9月までに18名の採用を達成し、10月以降も引き続き新規採用を予定している。エージェントとの密な連携とレスポンスの速さを重視する採用戦略が奏功しており、人財確保における実効性が確認できる。また当期より導入されたジョブ型の新人事制度は、個々の従業員の専門性と成果に基づいた評価を行い、より公正かつ透明性の高い制度設計を実現している。この制度は、従業員のモチベーション向上に寄与し、優秀な人財の定着を図る重要な役割を果たしている。さらに、待遇と制度の整備に関しては、年間休日を前期の120日から126日へと増加させたことに加え、有給休暇取得率は85%を維持しており、従業員の休暇取得を推奨する企業の姿勢が反映されている。加えて、当期の利益計画が達成された場合はさらに休日を増やす予定であり、従業員の働きやすさを重視する企業文化の一端を示している。各部署において業務の優先度を明確化することで、業務効率を図っており、働き方改革による労働環境の改善が一層進んでいることが読み取れる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
■世達集團<5078>的增長戰略
1. 制定「2030願景」
公司定於2025年2月開始期,並制定了「2030願景」長期經營願景,設定2030年的「願景」,明確了實現未來更持續增長和中長期企業價值提升的方針和戰略。該計劃考慮到向新一代管理者的接力傳遞,將更長期的經營願景定爲「CEL未來戰略」的實現里程碑。將「願景」定爲「最大化企業價值和物質心靈幸福的實現」,並推進高附加值追求以提高毛利率作爲公寓專業製造商的核心業務。此外,公司認爲在提升企業價值方面,人力資本是經營的根本。在計劃中,從「實現願景」角度制定和執行人才戰略,以持續提升企業價值。在定量目標方面,目標設定爲2030年2月期營業收入400億日元,營業利潤40億日元,營業利潤率10.0%,ROE10.0%,PBR1.0倍。在收益結構方面,將股票業務比例維持在2023年2月期的40.0%水平,並計劃通過股票業務利潤覆蓋全公司成本。這不僅僅是數字驅動,更是理念和戰略驅動的計劃,通過實現計數目標和員工的物質心靈幸福實現相互推進,我們認爲這將帶來中長期企業價值提升和利益相關者更深層次的滿意度。
2. 全公司戰略
作爲「2030願景」的全公司戰略,「入必定出」的原則下,通過選擇和集中有限的經營資源,通過明顯差異化爲客戶提供附加值。基於「世達哲學」的原則「要做到特別」,通過選擇和集中「客戶」、「區域」、「結構」、「目標」等方式,細化了特定戰略。選擇將目標客戶鎖定在注重住宅的「年輕未來領袖」,並將業務區域限定在東京地區(1都3縣)。在開發方面,專注於東京都城南・城西區的拐角地點,限定爲具有耐震性並通過自家工廠生產保持高質量的鋼結構。此外,繼續推進通過「My Style vintage」展開差異化商品,重視風險較低且市場增長率較高的「受益地產」。通過這些特定戰略集中管理經營資源,實現通過明顯差異化提供附加值。在實施各項措施時,執行董事常務董事兼主****導該過程,並通過設立小組委員會在下屬組織進行改革推進。
3. 重點措施
作爲「2030願景」的重點措施,提出「提高收益力」、「提高生產率」、「構建與公寓經營相關的新商業模式」。爲提高收益力,將「My Style vintage」的商品構成比例設定爲100%爲目標,擴大公司獨特的租賃和建築管理菜單。此外,目前計劃在「My Style vintage」中新設最高檔商品「vintage-Gran」。計劃設計注重概念的高檔內飾,旨在提高公司品牌價值,與傳統產品相比有進一步提升的目標。爲了提高生產率,將推進數字化以實現效率化,通過技術改革縮短工期,通過機器人等自動化推進,通過共同部件提高生產效率。爲了構建與公寓運營相關的新商業模式,將考慮通過事業公司除承包・開發・管理外,也考慮與之協同的業務多方面經營。通過提高附加值以增強收益力,並通過注重效率性的成本削減,推動高利潤的企業性格。此外,將設定各項措施的目的、手段、效果和目標,通過改革和改善解決問題。
4. 投資計劃
公司已設定了總投資額達55億元的投資計劃,以實現制定的《2030年願景》,在考慮利潤平衡的情況下,計劃在2030年2月截止實施。其中,預計投資7.5億日元用於塞雷亞學院的運營和人才開發改革等,預計投資7.5億日元用於設計施工和生產技術改革,預計投資5億日元用於數字改革以提高效率,預計投資35億日元用於多面經營展開,涉及M&A和資本合作。公司的投資計劃綜合考慮了當前資金餘額,房產etf業務資金,兩年的內部留存和運營資金,是一個相對實現可能性高的投資計劃,公司認爲已經考慮了利潤平衡。
5. 人力資本管理
公司將人力資本視爲企業價值提升和經營的核心。在《2030年願景》中,爲了最大程度地創造企業價值,將執行從「人才活化」、「人才培養」、「人才獲取」到「待遇和制度建設」的視角,採取措施。具體措施方面,在「人才活化」方面,不僅實施職位定年制,還推行各種措施以提升員工的參與度,推動不受時間和地點限制的工作方式。在「人才培養」方面,通過進行塞雷亞學院的運營,明確管理團隊和員工應具備的判斷標準和行動指引。此外,設定職業生涯規劃,推進下一代管理者的培養,同時通過再培訓,培養高專業人才。在「人才獲取」方面,公司採納了一個方針,即選擇支持創造企業價值的高度專業多樣化人才。通過制定包括新人和中途聘用在內的招聘策略,並建立新員工培養體系,致力於招聘年輕新一代人才。此外,還推動了工作型僱傭。在「待遇和制度建設」方面,公司計劃將平均年薪定爲900萬日元,進行基本提升,並重新評估業績分配。公司也正在考慮推行每週休息三天制度。
此外,作爲人力資本管理的一部分,公司自動化和外包業務流程和控制,通過採用高度專業化人才比例更高的配置構成,加強構建高附加值創造體系。
2025年2月期間,主要領域取得了穩健的進展。在人力活化方面,公司通過推進工作方式改革和員工幸福的措施,加強了工作方式改革,旨在通過改善工作環境和引入靈活的工作方式,提高員工生產力和滿意度。其中,公司在10月進行了員工調查,正在考慮基於員工調查結果的進一步改進措施。在人才培養方面,塞雷亞學院的開幕準備工作順利進行。計劃於2026年2月期間開設並正在積極推進學部和學科的有序建設。在人才獲取方面,截至2024年9月,已完成18人的招聘,並計劃在10月之後繼續進行新員工招聘。與代理商緊密合作和快速回應的招聘策略取得成功,證實了人才招募的有效性。此外,作爲當期實施的工作型新人事制度,基於個人員工的專業知識和成果進行評估,實現了更加公正和透明的制度設計。該制度有助於提升員工的工作積極性,促進優秀人才的留任。此外,在待遇和制度的建設方面,公司將年休假從前期的120天增加到126天,有薪假期利用率保持在85%,體現了公司鼓勵員工休假的態度。此外,如果當期利潤計劃得以實現,還計劃進一步增加休假,體現了公司重視員工工作舒適度的企業文化。通過明確部門業務的優先級,公司努力提高業務效率,並且已實現由於工作方式改革而帶來的勞動環境改善。
(撰寫者:富士客座分析師茂木稜司)