■要約
ドリーム・アーツ<4811>は、「協創する喜びにあふれる人と組織と社会の発展に貢献する」をミッションに掲げ、大企業向けノーコード※1開発ツール「SmartDB(R)(スマートデービー)」(以下、「SmartDB」)をはじめとしたSaaS※2プロダクトを提供するクラウドサービスベンダーである。「デジタルの民主化」をコンセプトに掲げ、ITの専門知識を持たない現場部門のビジネス系人材を巻き込んだクラウド時代の業務デジタル化を推進する。なお、東京と広島の2本社体制を敷いている。
※1 ノーコード開発:アプリケーション開発に必須であったプログラミング言語によるソースコードをパーツとしてビジュアル化し、欲しいパーツを直感的に配置することで開発できるツールを利用した開発のこと。
※2 SaaS:Software as a Serviceの略。クラウド上に構築されたソフトウェア・アプリケーションをインターネット経由で利用するサービス。従来のようなパッケージソフトウェアを購入し、ハードウェアにインストールするなどの必要はなく、インターネットでアクセスするだけで利用できる仕組み。
1. 2024年12月期第2四半期の業績概要
2024年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高2,415百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益361百万円(同2.4%減)、経常利益357百万円(同2.7%減)、親会社株主に帰属する中間純利益250百万円(同3.0%減)と増収減益となった。クラウド事業へのビジネスモデル転換の仕上げを目的に、既存顧客を中心にクラウドへの移行提案に注力した結果、一時的に全社的な成長は鈍化した形だが、期初の通期業績予想に対する進捗率は売上高が50.3%、営業利益が62.4%と順調に推移した。一方、主力のホリゾンタルSaaS※1(提供ツール「SmartDB」「InsuiteX(R)(インスイートエックス)」(以下、「InsuiteX」))は、導入企業の増加により売上高は同33.4%増と順調に成長を続けている。「SmartDB」がERPフロントシステムなど全社で利用するシステムに採用されるなど新規案件が大型化し、既存顧客のアップセルも好調に推移した。「SmartDB」の拡張性、基幹システムや他社SaaSとの連携性が高い評価を受けるとともに、基幹システムの更新が進む上場企業のニーズを同社が的確に捉えた結果と言える。バーティカルSaaS※2(提供ツール「Shopらん(R)」(以下、「Shopらん」))の売上高も、同8.1%増と順調に推移した。オンプレミス事業※3も含めたストック売上高比率は88.2%(同8.4ポイント上昇)、クラウド事業は76.7%(同9.7ポイント上昇)となり、安定的な収益基盤が整った。損益面では、クラウド事業の成長に伴いインフラコストが増加したが、ストック型収益が積み上がり売上総利益率は57.2%(同2.2ポイント上昇)となった。しかし、若手社員を中心とした給与水準アップ、新規獲得に向けた人員増、販促強化に伴い販管費が増加したため、営業利益など各利益は減益となった。
※1 ホリゾンタルSaaS(Horizontal SaaS):業界を問わず特定の部門や機能に特化したSaaS。企業組織に共通する業務課題を解決するために利用される。
※2 バーティカルSaaS(Vertical SaaS):特定の業界に特化したSaaS。業界特有の業務課題を解決するために利用される。
※3 オンプレミス(on-premises):プレミス(premise)は「構内」「店内」などを意味する。サーバーやソフトウェアなどの情報システムを、使用者が管理している施設内に設置して運用すること。
2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の連結業績は、売上高5,050百万円(前期比13.7%増)、営業利益762百万円(同32.1%増)、経常利益758百万円(同34.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益527百万円(同24.4%増)と増収増益を見込む。ホリゾンタルSaaSが好調に推移しており、オンプレミス事業のメンテナンス契約も期初に想定した水準の解約が生じていないため、2024年8月に期初通期予想を売上高は5.2%、営業利益は31.5%上方修正した。クラウド事業の売上高は前期比24.8%増を見込む。オンプレミス事業の売上高は同6.5%減、プロフェッショナルサービス事業の売上高は同17.9%減を見込む。プロフェッショナルサービス事業は、一部顧客に対してクラウド移行提案など「剪定戦略」(剪定=最新プラットフォームへの移行促進、技術的負債になり得る機能削減により将来のシステム負荷を軽減する)を推進しているため、第2四半期では無償稼働が増加したが、下半期に進行している多数の同社SaaS導入支援プロジェクトの実現に期待したい。
3. 中長期の成長戦略
今後の成長戦略として、主力製品「SmartDB」の拡販を成長ドライバーとして顧客基盤を拡充し、アップセル、クロスセルによるオーガニックな成長、そして戦略パートナーを拡大し、「SmartDB」を扱える人材を創出することで成長を図る方針だ。アップセル及びクロスセルについては、製品のオプションを継続的に開発、追加していることもあり、それらを背景として順調に進むと見られる。戦略パートナーの拡大については、2024年2月からスタートさせた「ドリーム・アーツ パートナープログラム(DreamArts Partner:DAP)」と「SmartDB認定資格制度(SmartDB Certified Specialist)」を中核として、人材創出、開発基盤としての利用促進、業種特化ソリューション開発の3層に分けて展開する方針である。すでに、「SmartDB」を利活用するコンサルティング企業やシステムインテグレーターなど戦略パートナーの輪も広がってきており、2024年7月には、DX関連のシステム開発・導入支援サービスを提供しているコンピューターマネージメント<4491>とパートナー契約を締結した。また、同年9月には独立系大手システムインテグレーターの富士ソフト<9749>が同社の公認パートナーとなった。大企業を支援する専門的な知見を持つ伴走者としてDAPに参画し、「SmartDB」の導入を共に展開していくこととなった。「SmartDB」スペシャリスト認定制度「SmartDB Certified Specialist(SCS)」の認定者は1,300人を突破し、「SmartDB」による「デジタルの民主化」の波が大きく広がり始めている。
■Key Points
・「SmartDB」の成長によりクラウド事業へのビジネスモデル転換進む
・2024年12月期第2四半期はクラウド移行提案に注力、成長投資もかさみ減益
・2024年12月期はクラウド事業の成長がけん引し、2ケタ増収増益見込み
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
■概要
Dream Arts<4811>將"充滿協作樂趣的個人和組織以及對社會發展做出貢獻"作爲使命,是一家提供針對大型企業的無代碼※1開發工具"SmartDB(R)(智能數據庫)"及其他SaaS※2產品的雲服務供應商。公司旨在"數字民主化",推動不具備IT專業知識的業務部門人才參與的雲時代業務數字化。公司設有東京和廣島兩個總部。
※1 無代碼開發:一種利用工具開發的方法,通過將必要的應用程序開發中的源代碼可視化爲部件,直觀地安置所需部件來開發的開發方法。
※2 saas:Software as a Service的縮寫。在雲端構建的軟件應用程序通過互聯網提供的服務。不需要像傳統那樣購買軟件包並安裝在硬件上,只需通過互聯網訪問即可使用。
1. 2024年12月期第2季度業績摘要
2024年12月期第2季度累計的合併業績爲:營業收入2,415百萬日元(同比增長9.7%)、營業利潤361百萬日元(同減少2.4%)、經常利潤357百萬日元(同減少2.7%)、歸屬於母公司股東的中間淨利潤250百萬日元(同減少3.0%),實現了營收增長和利潤減少的狀況。爲了實現向雲業務模式的轉變,公司致力於向現有客戶提出遷移至雲端的建議,雖然全公司整體增長暫時減緩,但對年度業績預測初始進展情況爲營業收入50.3%,營業利潤62.4%,持續順利。與此同時,主力水平SaaS※1(提供工具"SmartDB"和"InsuiteX(R)(英斯維特艾克斯)"(以下稱"InsuiteX"))由於嘗試增加企業數量而實現了同比33.4%的銷售增長,"SmartDB"被採用在ERP前端系統等全公司使用的系統中,新項目規模不斷擴大,現有客戶的升級銷售也持續順利。"SmartDB"的擴展性、基礎系統和其他公司SaaS的協作性得到高度評價,公司準確把握了上市公司基礎系統更新的需求。垂直SaaS※2(提供工具"Shopらん(R)"(以下稱"Shopらん"))的銷售額同比增長8.1%。包括本地業務※3在內的存量銷售佔比爲88.2%(同比增加8.4個百分點),雲業務佔比爲76.7%(同比增加9.7個百分點),收入基礎穩定完善。在成本方面,隨着雲業務的增長,基礎設施成本增加,但存量銷售積累起來,銷售毛利率爲57.2%(同比增加2.2個百分點)。然而,由於包括年輕員工爲主的薪資水平提高、新增人員和強化宣傳銷售等方面的投入增加,經營利潤等各項利潤均減少。
※1 水平SaaS(Horizontal SaaS):專注於不特定行業的特定部門或功能的SaaS。用於解決企業組織普遍面臨的業務問題。
※2 垂直SaaS(Vertical SaaS):專注於特定行業的SaaS。用於解決特定行業的業務問題。
※3 在線進行營業:增加(premise)是指"內部"、"店內"等。將信息系統,如服務器和軟件,安裝在使用者管理的設施內,並進行運營。
2.2024年12月期業績預測
2024年12月期的合併業績預計爲:營業收入5,050百萬元(同比增長13.7%)、營業利潤762百萬元(同比增長32.1%)、經常性利潤758百萬元(同比增長34.6%)、歸屬於母公司股東的當期淨利潤527百萬元(同比增長24.4%),預計將實現收入和利潤的增長。橫向SaaS業務發展良好,由於在線進行營業業務的維護合同,如期末沒有期初設想的解約情況,因此2024年8月初修正全年預期,預計營業收入增加5.2%,營業利潤增加31.5%。雲業務的營業收入預計將增長24.8%。在線進行營業業務的營業收入預計減少6.5%,專業服務業務的營業收入預計減少17.9%。專業服務業務正在推進"瘦身戰略"("瘦身"—促使某些客戶進行雲平台轉移等,通過減少可能成爲技術負債的功能來減輕未來系統壓力)以推動部分客戶進行雲遷移提案,第二季度的免費運營時間增加,但期待在下半年進行的許多公司SaaS導入支持項目能夠實現。
中長期增長戰略
未來的增長戰略是將主力產品"SmartDB"擴大推廣作爲增長驅動力,擴大客戶基礎,通過升級銷售和跨銷售實現有機增長,並通過擴大戰略合作伙伴,培養掌握"SmartDB"技能的人才,以實現增長。關於升級銷售和跨銷售,由於持續開發並添加產品選項,可以預見它們將穩步發展。關於擴大戰略合作伙伴,自2024年2月開始實施"DreamArts夥伴計劃(DreamArts Partner:DAP)"和"SmartDB認證專家制度(SmartDB Certified Specialist)",以人才培養爲核心,在推廣利用開發基礎、業務特化解決方案開發方面分爲3層展開。作爲已經參與利用"SmartDB"的顧問公司和系統集成商等戰略合作伙伴團隊也在不斷擴大,戰略合作伙伴包括正在提供DX相關的系統開發和導入支持服務的高斯電源管理公司和2024年7月簽訂了合作協議。此外,同年9月,獨立的主要系統集成商FujiSoft <9749> 成爲了該公司的認證合作伙伴。FujiSoft擁有支持大型企業的專業知識,作爲DAP的助手,將共同推進"SmartDB"的導入。"SmartDB"認證專家(SCS)已經超過1,300人,"SmartDB"帶來的"數字化民主化"浪潮正開始蔓延。
■Key Points
· 隨着"SmartDB"的增長,業務模式向雲業務轉變
· 2024年12月期第二季度專注於雲遷移提案,增加投資,但盈利減少
2024年12月期將受雲計算業務增長的推動,預計將實現兩位數的營收和利潤增長。
(編寫:Fisco客戶體驗分析師Matsumoto Akira)