■事業環境
(一社)日本鉄鋼連盟が発表した2023年度の国内粗鋼生産量は、主要な販売先である自動車向けの鋼材が半導体不足の解消を受けて回復傾向を示したものの、建設向けが人手不足による工期の遅れ等により需要が弱含み、前年度比1.1%減の86,828千トンとなり、前年度に続き減少となった。なお、5年連続で1億トンを下回って推移している。中部鋼鈑<5461>が製造する厚板の2023年(暦年)の生産量は前年比6.5%減の8,358千トンと、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で落ち込んだ後は2年連続で増加するも、その後再び落ち込んだ状況である。厚板は、造船、土木・建築、産業機械が主な需要先である。造船需要は、2020年にコロナ禍で落ち込んだため以降は低迷しているが、産業機械需要は輸出向けや国内の設備投資回復に伴い堅調に推移した。土木需要はコロナ禍にあっても国土強靭化計画により堅調で、建築需要も非住宅分野である倉庫・物流施設やデータセンターに加え、首都圏を中心に大型開発案件が堅調に推移した。同社の厚板の用途別受注は、2022年度で産業機械が62.5%、土木・建築が25.9%と合計で9割近くを占めており、需要が低下している造船の比率は0.3%と極めて低いため、電炉厚板専業メーカーである同社は堅調な販売を維持できていると言える。
一方、供給サイドでは、国内需要の頭打ちを懸念する鉄鋼大手が相次いで高炉の生産集約化や休止を打ち出している。粗鋼生産においても電炉の比率が高まることが予想されるなか、電炉厚板専業メーカーとして汎用品の厚板に強みを持つ同社のポジションは優位なものとなってきている。鉄鋼大手は供給能力を削減すると同時に、ユーザーに対して原料・エネルギーコストの価格への転嫁を求めており、需給面から価格上昇圧力が働いているという。このことも同社にとって追い風となるだろう。
2022年度の全国地域別厚板出荷は、関東地区が24%、関西地区が20%、中部地区が40%と、この3地区で84%を占めている。中部圏においては、愛知で開催されるアジア競技大会(2026年)、リニア事業(当初予定2027年度)、名鉄名古屋駅再開発(当初予定2022年度)、名古屋栄地区再開発(2024年度から順次)、岐阜駅前再開発(2028年度)、東海環状自動車道全線開通(2026年)と工事イベントが目白押しである。中部圏に厚板工場を構えるのは同社しかないため、輸送コスト面からも受注に期待がかかる。
政府は、脱炭素化社会の実現に向けて、1) 2030年度に温室効果ガスを2013年度比46%に削減、2) 2050年までにカーボンニュートラルを実現するという目標を掲げており、国内企業では脱炭素化が加速している。電気炉はCO2排出量が高炉に比べて少なく、主原料の鉄スクラップを自国でリサイクル資源として調達・活用できるため、電炉製品に対する関心が急速に高まっている。高炉の鉄鋼大手も電気炉への投資や参入を発表している。日本製鉄<5401>は、2022年から瀬戸内製鉄所広畑地区(姫路市)で電気炉の運転を開始しており、さらに2地区で大型電気炉建設の本格的な検討に入ったことを公表した。JFEスチール(株)も西日本製鉄所倉敷地区にある高炉の電気炉への転換と、東日本製鉄所千葉地区でのステンレス製造の電気炉新設を公表した。こうした動きのなかで、サプライチェーン上流・下流における温室効果ガス排出量の測定(スコープ3)の義務化や規制、炭素税の導入等の動きも注目されており、同社の製品に対する関心は一層高まると弊社では見ている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
■業務環境
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(一社)日本鋼鐵聯盟發佈的2023年國內粗鋼產量數據顯示,雖然以汽車鋼材爲主要銷售對象的產量因半導體短缺得到緩解而呈現出復甦趨勢,但因爲人手不足導致施工需要疲軟,降幅達1.1%,降至86,828千噸,連續第二年下降。此外,產量已持續5年低於1億噸。中部鋼板<5461>的厚鋼板在2023年度(公曆年)的產量比去年下降了6.5%,達到8,358千噸。疫情陰影下曾有回升,但此後再次滑落。厚鋼板主要需要被用於造船、土木建築、工業機械等領域。造船需求因疫情而下滑,自那以後仍然疲軟,而工業機械需求則因出口和國內設備投資回升而保持強勁。土木需要儘管處於疫情環境中,但由於國土強靱化計劃持續實施而保持強勁,建築需求不僅包括倉庫、物流設施和數據中心等非住宅領域,還在首都圈的大型開發項目中穩步推進。該公司的厚鋼板按用途分類的訂單,在2022年度中,工業機械佔據了62.5%,土木建築佔據了25.9%,總的來說佔了近九成,而降低的造船需求比例僅佔0.3%非常低,因此電爐厚鋼板專業製造商該公司銷售表現不斷保持強勁。
另一方面,爲了應對國內需求增長的停滯,鋼鐵業的巨頭們紛紛發佈了減少高爐生產、集中生產的計劃。在粗鋼生產方面,電弧爐的比例有望加大,對於享有厚鋼板廣泛應用領域的專業電爐厚鋼板製造商,其市場地位變得更加優越。鋼鐵巨頭除了削減供應能力外,還企圖把原材料和能源成本的價格負擔轉嫁給用戶,因此需求供給矛盾反而推動了價格的上升。這也將成爲該公司的追隨風潮的有利條件。
2022年度全國地區厚鋼板的出貨量,東京都區佔據24%,關西區20%,中部區40%,這3個地區的總和佔據了全國出貨量84%。在中部區域,名古屋地區將舉辦亞洲運動會(2026年)、線性建設(最初預定在2027年)、名鐵名古屋車站再開發(最初預定在2022年)、名古屋榮區再開發(從2024年依次展開)、岐阜車站前再開發(2028年度)、東海環線高速公路的全線通車(2026年)等工程項目。由於中部地區只有該公司有厚鋼板生產工廠,因此在運輸成本方面,該公司對訂單的接收頗有期望。
政府制定了實現無碳化社會的目標:1)到2030年將溫室氣體減少到2013年度的46%;2)到2050年實現碳中和。國內企業正在加緊推進無碳化。與高爐相比,電弧爐的CO2排放量較少,主要原材料的鐵廢鋼可以作爲回收利用資源自主採購和利用,因此對電爐製品的關注度迅速提高。鋼鐵巨頭不僅宣佈將投資和進入電弧爐領域,而且日本製鐵<5401>從2022年開始在廣畑地區(姬路市)的瀬戸內製鐵廠開展電弧爐的駕駛,還公佈了在其他2個地區進行大型電弧爐建設的全面研究。JFE Steel Co.在位於西日本製鐵所倉敷地區的高爐上進行了向電弧爐的轉換,還公佈了在位於東日本製鐵所千葉地區新設立的不鏽鋼製造的電弧爐裝置。在這樣的情況下,供應鏈上游和下游的溫室氣體排放量測量(範圍3)的義務化、規範和引入碳稅等舉措也備受關注,預計對該公司的產品將產生更大的興趣。
(編輯:FISCO分析師村瀬智一)