■事業概要
1. 事業セグメント
ヒーハイスト<6433>の主要事業は、「直動機器」「精密部品加工」「ユニット製品」の3領域に分けられている。2024年3月期の分野別売上高は、直動機器が1,591百万円(売上高構成比68.9%)、精密部品加工が529百万円(同22.9%)、ユニット製品が188百万円(同8.2%)であった。
2. 直動機器
直動機器とは、直進する力を可能な限りスムースに(摩擦抵抗を少なく)伝えるための精密部品であり、主に各種の工作機械や半導体製造装置等に使われる。同社製品としては、次世代型リニアボールブッシュUTB(Utility Track Ball)、ハイブリッドフランジリニアボールブッシュ(JFK)、リニアボールブッシュ、ボールスプラインユニットなどがある。この分野の売上高の約90%がTHK向けのOEM販売で、同社から製品を仕入れたTHKが自社ブランドで世界各地へ販売している。残りの10%ほどが自社販売だが、この中には大手ルアーメーカー向け※も含まれている。
OEMとはいえ、注文は「定期」プラス「スポット」で入る。生産効率を高めるため見込生産を行い、一定量の在庫を保有しているが、近年は型番も増加し多品種少量の傾向が強まっているため、利益面ではやや厳しさが増している。需要(売上高)はTHKの販売状況に左右されるが、最終的にはFA市場(工作機械やロボット等)の動向や半導体製造装置等の設備投資動向に影響される。一方で、ルアー向けはどちらかと言えば「趣味の世界」であるため、受注動向は景気の変動とは異なる場合もある。
3. 精密部品加工
レース用車種向け、研究開発用、試作用などの特殊・特注部品を製造しているが、現在では約95%がホンダ向けである。したがって売上高は、ホンダの新製品開発や各種レース(特にF1)への関与度に大きく左右される。様々な複雑かつ精密な加工に加えて短納期も要求される場合が多く、多種類の工作機械を保有する必要がある。その結果、どうしても機械の稼働率は低くなってしまうが、このような難しい注文に対応していることが顧客(ホンダ)からの信頼につながっている。しかしホンダは2022年以降はF1レースから撤退しており、同レース向けの部品受注は大幅減となっている。ただし、ホンダの子会社である(株)ホンダ・レーシング向けや、F1の車体メーカーであるRed Bull GmbH(以下、レッドブル)及びRB Formula One Team向けは残っているため、一定の売上高は継続している。また最近のニュースとして、ホンダは2026年からのF1参戦を発表しており、Aston Martinチームへエンジンを供給することになっている。したがって、この部門は2026年3月期の後半から本格的な回復が期待される。
4. ユニット製品
直動の技術と軸受の技術を組み合わせた製品で、精密位置決め装置、アライメントステージ(XYθステージ、XYθZステージ)、球面軸受などがある。液晶や有機ELなど、正確な貼り合わせ(位置決め)を必要とする装置などに使われる。この分野の多くは中国の中堅LCDメーカー向けとなっていたが、近年、電子デバイスの組立工程等にも採用されている。ユニット製品の多くは製造装置等に組み込まれるため、需要はこれら業界の設備投資動向に左右される。
5. 特色、強み、競合
(1) 高い技術力
同社の最大の特色は、精密部品加工における長い歴史と高い技術力だろう。前述のように過去においても数多くの特許を取得しており、このように蓄積された経験と技術力がホンダをはじめとした主要顧客から評価されていると言える。
(2) 大手顧客との信頼関係
THKやホンダとの長い取引が続いているが、このような大手顧客との付き合い、信頼関係も同社の技術力を高めるうえでは強みと言えるだろう。
(3) 競合
前述のように同社の製品は、顧客からの直接受注が中心のため直接競合する企業は多くはない。あえて競合企業として挙げるとすれば、直動機器におけるミスミグループ本社<9962>や日本ベアリング(株)などがある。
しかし同社にとっての本当の意味での競合は、むしろ技術革新そのものかもしれない。技術革新によって新しい部品が登場することで、同社製品の需要が減少してしまうことはあり得る。その意味では、同社自身が常に新製品、新市場(顧客)の開拓に努めることが重要になってくるだろう。
(4) 人材への積極的な投資
同社のもう1つの特色(強み)は、高い技術力、高シェア(競合が少ないこと)を背景として、積極的に人材投資を行っていることだろう。その成果として、(株)日本経済新聞社が2019年4月に売上高100億円以下、従業員50人以上の上場企業563社を対象として行った「過去3年間で平均給与を増やした会社」の調査で、堂々の第18位に選ばれた。現在の同社の平均給与額(年額)は505万円となっている。
さらにインセンティブ型の報酬制度や優れた提案に対して手当を支給する仕組みなど、社員がやりがいを感じる環境を整え、技術や効率を高めている。これも同社の特色であり、このような人材への投資が同社の技術力を支えていると言っても過言ではないだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
■業務概要
1. 業務部門
Hiwin主營業務分爲三個領域:"直動機器人"、"精密零件加工"、"單元產品"。2024年3月期按領域劃分的銷售收入分別爲1,591百萬元(銷售收入組成比68.9%)、529百萬元(同22.9%)、188百萬元(同8.2%)
2. 直動機器人
追求讓直線移動的力盡可能平滑(摩擦阻力小)傳遞的精密零件,主要用於各種工作機械和半導體制造設備等。該公司的產品包括下一代線性球直線套UTB(實用跟蹤球)、混合法蘭式直線球套(JFK)、線性球套、球花鍵組件等。該領域約90%的銷售收入來自於THK的OEM銷售。THK從該公司採購零件並在全球以自己的品牌銷售。其餘約10%爲自營銷售,但這其中包括大型餌料製造商的訂單※。
即使是OEM,訂單也以“定期”和“現貨”形式進入。由於增加了型號並傾向於少量多品種,因此生產效率已被提高,但在利潤方面壓力仍然越來越大。需求(銷售收入)受THK的銷售狀況影響,但最終會受FA市場(工作機械和機器人等)動向和半導體制造設備等設備投資動向的影響。另一方面,餌料是“愛好的世界”,訂單趨勢與景氣週期不同。
3. 精密零件加工
生產特殊/定製部件,如賽車、研究開發和原型製作,但現在約95%是爲本田汽車服務的。因此,收入取決於本田的新產品開發和參與各種比賽(尤其是F1)程度。除了需要進行各種複雜而精密的加工外,還需要短交貨期,因此需要保有多種類型的工作機械。結果,機器的運行率不可避免地降低,但是對這樣的訂單進行響應導致客戶(本田)信任我們。但是,本田自2022年起退出F1比賽,F1比賽的部件需求大幅降低。但是,爲Honda Racing Fashion Co. Ltd.(以下簡稱Honda Racing),Red Bull GmbH(以下簡稱紅牛)及RB Formula One向提供發動機的子公司Honda的最新消息是,Honda計劃從2026年開始參加F1比賽。因此,預計該部門將在2026年3月期的後半段得到有效回覆。
4. 單元產品
結合直線機器人技術和軸承技術的產品,如精密定位裝置、校準臺(XYθ臺,XYθZ臺)、球面軸承等。用於需要精確粘合(定位)的設備,如液晶和有機EL。該領域的大部分產品面向中國中小型LCD製造商,但近年來也開始應用於電子設備的組裝工藝等。由於許多單元產品被安裝在製造設備中,因此需求受這些行業的設備投資動向的影響。
5. 特色,優點,競爭對手
(1) 高技術力量
該公司最大的特色是其在精密零件加工方面的悠久歷史和高超技術。正如前面所述,該公司曾經獲得過許多專利,在這樣的積累經驗和技術方面獲得了主要客戶(包括本田在內)的評價。
(2) 與大客戶的信任關係
雖然已經與THK和Honda合作了很長時間,但是與這些大型客戶的合作和信任關係在提高公司技術力量方面也是一個優點。
(3) 競爭對手
正如前面所述,由於該公司的產品主要由客戶直接訂購,因此並沒有太多直接競爭的企業。如果必須給出競爭對手,則可以列舉Misumi Group株式會社<9962>等直線機器人領域和日本軸承公司等。
然而對於該公司而言,真正的競爭可能是技術革新本身。隨着新元件的推出,該公司產品的需求量可能會減少。在這個意義上,該公司自己不斷努力開拓新產品、新市場(客戶)至關重要。
(4) 對人才的積極投資
同公司的另一個特點(優勢)可能是其強大的技術實力和高市場份額(競爭對手較少),並積極進行人才投資。作爲其成果,它在被日本經濟新聞社調查的2019年4月以一百億日元以下的銷售額和50名以上的員工的563家上市企業中,被評爲“過去三年增加員工平均薪資的公司”中排名第18位。目前該公司的平均年收入爲505萬日元。
此外,還實施了激勵型的薪酬制度以及對出色提案給予津貼等制度,爲員工打造了具有挑戰性的環境,並提高了技術和效率。這也是該公司的特點,可以說這種對人才的投資支撐了該公司的技術實力。
(作者:日經FISCO客座分析師 寺島昇)