■シンバイオ製薬<4582>のBCVの開発戦略
2. 開発パイプライン
BCVは現在、造血幹胞移植後のAdV感染症や脳腫瘍、血液腫瘍、脳神経変性疾患など複数の領域でアカデミアとの共同研究も行いながら開発が進んでいる。このうち、造血幹細胞移植後のAdV感染症を対象とした第2相臨床試験においてヒトでのPOCを確立したことを2023年5月に発表している。POCの確立により、他の疾患領域における開発リスクの低減と開発期間の短縮化が見込めることになり、BCVのプラットフォーム展開による事業価値最大化に向け、今後のパートナー契約交渉もスムーズに進むことが期待される。
(1) 造血幹細胞移植後のAdV感染症
BCV(注射剤)の最初の開発ターゲットとして、小児(成人含む)を対象とした造血幹細胞移植後のAdV感染症に対する国際共同第2a相臨床試験を2021年8月から米国で開始している。AdVは自然界に存在するウイルスで、呼吸器、目、腸、泌尿器などへの感染によって、咽頭炎、扁桃炎、結膜炎、胃腸炎、出血性膀胱炎等の感染症を引き起こす。健常人が感染しても重篤になるケースは稀だが、造血幹細胞移植後の免疫力が低下した患者が感染すると重篤化するリスクが高く、未だ有効な治療薬もないことから治療薬や予防薬の開発が強く望まれている。世界における造血幹細胞移植の件数は年間3.5万件で、このうちAdV感染症の患者数は約2千人※となっている。
※出所:事業計画及び成長可能性に関する事項
第2相臨床試験では安全性、忍容性及び有効性(血中AdV量の変化)を評価し、次試験のための推奨用量を決定する試験となる。投与量(0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg※1)を分けてそれぞれ週2回投与する群と、0.4mg/kgを週1回投与する群の4グループに分けて試験を実施した結果、週2回0.4mg/kg投与群(10例)において、すべての患者で血中AdVが消失し、そのうち90%の患者は治療後4週間以内にウイルス消失が確認された。また、全27例の患者のうち、経口BCV製剤で確認された胃腸毒性及び肝毒性を含む治療に関連する重篤な有害事象はなかったことが報告※2されており、ヒトでのPOCが確立されたとしている。学会発表による反響は大きかったようで、造血幹細胞移植後のAdV感染症を発症した患者の家族や担当医師からBCV使用のリクエストが3件あり、人道的観点から無償提供を行った。米国の10代の患者についてはBCV投与後、症状が改善したとの報告を受けている。
※1 体重50kg以上の場合は投与量10mg、15mg、20mg。
※2 治療に関連した有害事象発生による投与中止は、0.4mg/kg(週2回)で1例、全27例中6例で観察されたが、治療終了後には消失している。
今回の臨床試験の結果を受けて、同社は日本で用途特許※を出願し、迅速承認手続きによって2024年1月に4ヶ月という短期間で特許登録されたことを発表している。また、欧米でも用途特許を取得していく予定で、特許戦略によってBCVの事業価値拡大を目指す。POC確立によって、同社は他の疾患の開発においても、0.4mg/kg、週2回投与を目安として、開発を進められるようになったと見ている。これは、BCVの開発リスク低減と開発期間の大幅な短縮化が可能になることを意味しており、BCVプラットフォーム展開を進めていく同社にとっては、大きな意義があったと評価している。
※患者の体重に従って一定量の液剤BCVを一定間隔で静脈投与すること、また所定期間投与を継続し、中止基準に従って投与を終了することを定めている。
なお、AdV感染症の今後の開発予定としては、国際共同第3相臨床試験の開始に向けて米国及びEU、英国の規制当局との協議を2024年前半に実施し、早ければ2024年12月期第4四半期に第3相臨床試験を開始したい考えだ。実際のFPI(第1例目の症例登録)は2025年12月期第1四半期となる見通しで、FPIが確認された段階で5百万米ドルのマイルストーン支払いが発生する(このため、2024年12月期計画には織り込まず)。順調に開発が進めば2028年後半にも承認取得する可能性がある。
(2) 腎臓移植後のBKV感染症
2つ目のパイプラインとして、腎臓移植後のBKV※感染症を対象とした国際共同第2相臨床試験を2022年12月よりオーストラリアと日本で進めていたが、症例集積が計画に対して遅れていることや他の開発パイプラインの開発状況等も鑑みて、2023年8月に開発の優先順位を引き下げることを決定した。
※BKVはポリオーマウイルス科に属するDNAウイルスで、健常人でも小児期に100%近くが自然感染しており、健康状態であれば目立った症状は出ないが、臓器移植や骨髄移植後の免疫力が低下している状況ではウイルスが活性化し、出血性膀胱炎や間質性腎炎などを発症する。また、症状が悪化すると移植後の腎臓も機能不全となり喪失するケースがある。
腎臓移植は末期腎不全の唯一の根治療法となっており、移植手術が必要な患者数は世界で約10万人規模にのぼる。腎臓移植後は免疫力が低下しているため各種のウイルス感染症を発症するリスクがあり、なかでもBKV感染症の患者数は年間約8千人※と見られている。現在は免疫抑制剤やCMV感染症治療薬等が対処療法的に処方されているが効果は限定的で、未だ確立された治療法のないアンメット・メディカルニーズの高い疾患として有効な治療薬の早期開発が望まれている。今回、開発の優先順位を引き下げたものの、環境が整えば臨床試験を再開する意向だ。
※出所:事業計画及び成長可能性に関する事項
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
■Synbio Pharmaceuticals<4582> BCV發展戰略
2. 開發管道
目前,BCV的開發正在取得進展,同時與學術界在多個領域進行聯合研究,例如AdV感染、腦瘤、血液腫瘤和造血幹細胞移植後的神經退行性疾病。其中,PoC於2023/5年宣佈,PoC是在一項針對造血幹細胞移植後的ADV感染的2期臨床試驗中建立的。隨着POC的建立,預計將降低其他疾病領域的開發風險並縮短開發週期,並且預計未來的合作伙伴合同談判將順利進行,以便通過BCV平台開發實現商業價值最大化。
(1) 造血幹細胞移植後的 AdV 感染
作爲BCV(注射劑)的第一個開發目標,一項針對兒童(包括成人)的造血幹細胞移植後ADV感染的國際聯合2a期臨床試驗已從2021/8起在美國開始。AdV 是一種自然存在的病毒,由於呼吸器官、眼睛、腸道、泌尿器官等的感染,會引起咽炎、扁桃體炎、結膜炎、胃腸炎、出血性膀胱炎等感染。健康人即使被感染也變得嚴重的情況很少見,但造血幹後免疫力減弱的患者風險很高細胞移植在感染後會變得嚴重,而且由於仍然沒有有效的治療藥物,治療藥物和預防藥物的開發將變得嚴重強烈需要代理商。全球每年造血幹細胞移植的數量爲35,000例,其中ADV感染患者人數約爲2,000*。
*來源:與商業計劃和增長潛力有關的事項
在2期臨床試驗中,評估了安全性、耐受性和有效性(血液AdV量的變化),並確定下一次測試的推薦劑量。通過將劑量(0.2 mg/kg、0.3 mg/kg、0.4 mg/kg*1)分爲四組,將一組每週一次的劑量(0.2 mg/kg,0.4 mg/kg)進行一次測試,0.4 mg/kg 給藥組(10 例)的所有患者的血液ADV消失了,90%的患者被證實在治療後的4周內丟失了病毒。此外,在所有27名患者中,據報道,口服BCV製劑※2證實沒有與治療相關的嚴重不良事件,包括胃腸道毒性和肝毒性,並且已經確定了人體POC。會議演講似乎得到了很好的反響,造血幹細胞移植後出現AdV感染的患者家屬和主管醫生有3份使用BCV的申請,而且從人道的角度來看,這是免費提供的。我們已收到報告稱,美國青少年患者服用 BCV 後症狀有所改善。
*1 體重 50 千克或以上的劑量爲 10 毫克、15 毫克、20 毫克。
*2 在1例病例中觀察到因發生治療相關不良事件而停止給藥,27例中有6例病例在0.4 mg/kg(每週2次)的劑量下停藥,但在治療結束後消失。
針對這項臨床試驗的結果,該公司在日本申請了申請專利*,並宣佈該專利在2024/1年度通過快速批准程序在短短的4個月內註冊。此外,計劃在歐洲和美國獲得申請專利,我們的目標是通過專利戰略擴大BCV的商業價值。隨着POC的建立,該公司認爲,現在可以以0.4 mg/kg爲指導進行其他疾病的開發,每週給藥兩次。這意味着可以降低 BCV 的開發風險並大幅縮短開發週期,據評估,它對正在進行 BCV 平台開發的公司意義重大。
* 規定根據患者的體重定期靜脈注射固定量的液體 BCV,持續給藥一段預先確定的時間,並根據停藥標準終止給藥。
此外,作爲AdV感染的未來發展時間表,將在2024年上半年與美國、歐盟和英國監管機構進行討論,以啓動國際聯合3期臨床試驗,而3期臨床試驗最早將在2024/12財年第四季度開始。實際的FPI(首次病例登記)預計爲2025/12財年的第一季度,在FPI得到確認後,將支付500萬美元的里程碑式付款(因此,2024/12年計劃未將其考慮在內)。如果開發進展順利,也有可能在2028年下半年獲得批准。
(2) 腎移植後的 BKV 感染
作爲第二個研發渠道,澳大利亞和日本從2022/12年度開始進行一項針對腎移植後BKV*傳染病的國際聯合2期臨床試驗,但鑑於計劃和其他開發管道的發展狀況等原因導致病例積累被推遲,決定降低2023/8年的開發優先次序。
* BKV 是一種屬於多哈韋科的DNA病毒,接近 100% 的健康人是在兒童時期自然感染的,如果他們身體健康,沒有明顯的症狀,但是在器官移植或骨髓移植後免疫力減弱的情況下,病毒會被激活,出現出血性膀胱炎、間質性腎炎等。此外,當症狀惡化時,在某些情況下,移植後的腎臟也會出現故障並丟失。
腎臟移植是終末期腎衰竭的唯一根本性治療方法,全球需要移植手術的患者數量約爲10萬人。由於腎臟移植後免疫力減弱,因此存在發生各種病毒感染的風險,其中,BKV感染患者人數估計每年約爲8,000人*。目前,免疫抑制劑、鉅細胞病毒感染治療藥物等被規定爲應對療法,但效果有限,需要儘早開發有效的治療藥物,以治療尚未確立的醫療需求大量未得到滿足的疾病。儘管這次降低了開發優先級,但其目的是在環境準備就緒後恢復臨床試驗。
*來源:與商業計劃和增長潛力有關的事項
(作者:FISCO 客座分析師佐藤喬)